赤川次郎『闇が呼んでいる』

赤川次郎さんの『闇が呼んでいる』を読みました。

女子大生の田渕美香、池内小百合、轟淳子、黒沼さとみの4人は、ある朝マリファナの匂いが籠もる部屋で全裸で目を覚ました。
前の晩、アメリカ人らしい3人の男の子たちと薬をやっている間に、何か飲まされてわけがわからなくなってしまったらしい。
部屋を出ようとしたところ、建物に警察が家宅捜索に入ってきた。
機転を利かせた美香は、被害者として警察に助けを求める。

犯人について聞かれた美香は、咄嗟に同じ大学の西川勇吉の名前を挙げる。
美香の父で外務大臣の田渕弥一は、報道陣に西川の情報を流す。
報道陣に家を取り囲まれた西川の両親は自殺、さらに田渕はそれを留置所内の西川に知らせ、自殺に追い込む。

4年後、それぞれの道を歩む4人の周囲に、西川勇吉の名前がひょっこりと顔を覗かせる。

ここまでこれば、良心の呵責に耐えきれなくなって…となってもおかしくないところですが、美香の「もう引き返せないの。私に任せて」という言葉で、徐々に頭を切り替えていきます。
こんなもろい関係など、簡単に崩れてしまいそうなのですが、逆に西川を死に追いやったという事実が”かすがい”となって、4人の関係をやんわりと支え続けます。
大学卒業後、4者4様の道を歩き始めたわけですが、過去の出来事を背負って、成長を見せてくれます。
しかし、結局最後まで成長しきれなかった人が1人…
過去の罪を背負って、どのように生き様を変えたのかということを、赤川次郎さんは書きたかったのではないかと感じました。

ミステリとして読むと、1家を自殺に追い込んだはずの西川勇吉の名前が、なぜ4人の周りに現れだしたのか?
誰が仕掛け人なのかという点が、終盤までまったくわからない展開です。
ここにもう1つのエピソードを持ち出してきたところが、うまかったです。

最後は、ちょっと中途半端な終わり方。
でも、余韻を残すこの終え方が、この作品にはぴったりだと思いました。

 

 

 

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