赤川次郎さんの『復讐はワイングラスに浮かぶ』を読みました。
A事務器では、新しく入った女性社員が長続きせず、数ヶ月で辞めてしまうことに頭を悩ませていた。
そこで、人事課長の峰山と、庶務課の久我幸代が、若い女子社員を引き留めるための策を講じた。
幸代の甥を入社させ、女子社員たちの気を引こうと考えたのだ。
この作品の初刊は1983年になっており、現在とは時代背景が大きく違っています。
1つは数ヶ月で仕事を辞めても、すぐに次の仕事にありつけたこと。
もう1つは、現在以上に女性社員が軽視されていること。
女性社員を軽視するから、簡単に辞めていってしまうんじゃないの?とも思えるのですが、これが当時の感覚なのでしょう。
誰でもできる仕事しか与えられないから、恋愛対象となる男性が社内にいるかいないかが、その職場に居着くかどうかに繋がってしまう…
まぁ、そういう背景があるからこそ、生まれた作品でもあるのですが。
この作品のオチのつけ方は見事。
個人の責任、会社の責任というところが、上手く棲み分けられていました。
表題作のほか、計4編の短編が収められています。
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