赤川次郎さんの『無言歌』を読みました。
娘の結婚式の日の朝、大学教授の柳原利明の携帯に、元浮気相手の内山晶子から「私も今日結婚するんです」とメールが入った。
しかし、晶子は、披露宴の前に姿を消してしまった。
一方、柳原の大学では、文学部長が急死し、新しい学部長候補として柳原の名前が挙がる。
その柳原の選挙参謀が、柳原の娘・真由美と結婚した講師の馬淵貞之だった。
また、柳原の次女で高校生の亜矢の親友・倉谷純子は、不倫の恋に悩んでいた。
倫理観が問われる作品と言えば良いでしょうか。
結婚してもなお、新しい愛に溺れてしまう人たち、愛のためなら、他人を蹴落とすことをいとわない人たち、自分の利益のためには、裏工作も辞さない人たち…
欲望を抑えきれない人たちの物語になっています。
その中で自分を見失わないのは、傷ついた過去を持つ人たちという、ちょっと重めのストーリー。
個人的には、
「自分がどこへ向かっているのか、どれだけの人がしっているのだろう」
という最後の1行が、この作品のすべてを言い表しているような気がしました。
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