赤川次郎さんの『パパの愛した悪女』を読みました。
布川香織の母・栄恵は、「好きな人ができてしまいました。彼と二人で死のうと決めました」と書き置きを残して家を出た。
その4日後、海岸沿いのホテル近くの崖の上に、男女2人の靴が並べて置かれているのが発見された。
2年後、香織の父・弥一郎は、通訳の栗山涼子との再婚に気持ちが向いていた。
そんな時、香織の前に栄恵が心中した相手の山岸治樹の息子と娘と出会う。
山岸の妻は病気で入院。息子の修介が大学を中退して家計を支えていた。
香織は、修介の仕事の世話や、山岸の妻の転院を弥一郎に依頼する。
心中をほのめかした手紙を残して母が家出。
崖の上からは男女2人の靴だけが見つかり、遺体は発見されない…
様々なパターンが想像できる設定ですが、意外と早い段階で何が起きたかが明らかになります。
そして、その裏で悪事を企んでいた人をあぶり出していく…
最後は、「思いがけない犯人」の登場になるのですが、この人物が以前に取っていた行動を考えると、繋がるような、繋がらないような…
ちょっと考え込んでしまいました。
タイトルが指す「悪女」にすべてを背負わさないために用意した犯人なのかな、と思いましたが、ちょっと唐突すぎる印象を受けて、これなら出てこなかった方が良かったかも?なんて思ってしまいました。
個人的なことを言うと、この作品の前に読んだのが『まっしろな窓』だったのですが、こちらもヒロインの名前が『香織』。
頭の中で混同してしまうかな?と思って、読む順番を変えようかとも思ったのですが、手元に他の本がなかったので、そのまま読みはじめました。
しかし、同じ「香織」でも、しっかりと書き分けられているので、心配は杞憂に終わりました。
人物の外見を詳しく描写しているわけでもないのに、言葉や、考え方、行動でキャラクターを書き分ける赤川次郎さんの筆力はさすがです。
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