赤川次郎さんの『寝過ごした女神』を読みました。
団地に住む主婦・浦上早希子が、スーパーマーケットの前で拾った宝くじが、1等2000万円に大当たり。
しかし、夫の明夫が勤める会社は不景気で、来月から残業手当や休日出勤手当が出なくなるとのこと。
久々に家族で外食に出かけた早希子たちだったが、レストランで明夫の上司・浜野部長と遭遇する。
浜野は外からやって来た人物で、経営のお目付役。独身でプレイボーイという評判だった。
しかし、早希子がデパートの食堂で昼食をとっていると、浜野が少女を連れてやって来た。
なんでも、フランス駐在中に知り合った女性との間の子で、母親が亡くなったため、浜野が引き取って育てているのだという。
娘のルミは、一目で早希子を気に入ってしまい、浜野もまた…
拾ったりもらったりした宝くじが当選したり、現金を拾ったりという話は、赤川次郎さんの作品に時々出てきますが、ほとんどの場合、それをきっかけに、流れが悪くなってしまいます。
しかし、この作品では、早希子がどっしりと構えていて、悪い流れになりかけるのを、踏ん張っているのが印象的でした。
突然、明夫が出向を命じられた時や、浜野の自分に対する気持ちに気づいた時、明夫が隣の部屋に住む水島香子と浮気していることがわかったとき…
慌てふためくことなく、機転を利かして乗り越えています。
ただ、終盤、暴力団絡みの厄介ごとに巻き込まれる部分が、少し余計だったかなぁと感じました。
もしくは、「2000万円」という金額から、もう1つ捻りがあったら良かったかもと…
普段の赤川次郎さんであれば、もう少しハチャメチャな方向へ行ってしまいそうな設定なのですが、崩れそうで崩れない、絶妙のバランスを楽しむことができました。
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