赤川次郎『終電へ三〇歩』

赤川次郎さんの『終電へ三〇歩』を読みました。

柴田秀直は、リストラの対象になってしまったが、家族にそのことを告げられないまま、最終日を迎えてしまった。
その夜、上司の永井絢子と専務の黒木昭平の不倫現場を目的する。
これをネタに、会社にとどまれるように交渉しようと考えた柴田だが、絢子も悩みを抱えていることを知って、思いとどまる。
そんな柴田と絢子の前に、高校生の三神彩と常田治の2人が現れる。
彩と常田は、父親同士が犬猿の仲で、家を飛び出してきてしまっていた。

一方、安田圭子は友人と飲みに行った帰りに、本多という男性と知り合う。
本多に送られて自宅に戻った圭子だったが、娘の結はエレベーターの前にうずくまっており、部屋の中から悲鳴が聞こえたということで、警察が駆けつけてきた。
室内には血痕が残されており、夫の浩次は姿を消していた。

扉を開いた瞬間から、いつもの赤川次郎さんらしくない臭いがプンプンと。
まず、目次が長い。
1ページに収まってはいますが、3段に渡ってずらりと並んでおり、32章まで。
さらに、次のページをめくると、主要登場人物の一覧が。こちらも32名。
赤川次郎さんの作品で、主要登場人物の一覧が用意されているものは、珍しいのではないでしょうか。
そして、その32名の関係を、頭の中で繋いでいくと、とても複雑な関係に。
ただ、最終的に2つのグループに分かれてしまい、その2つのグループの間には繋がりががないように思えたのですが、私が見落としたのでしょうか?
はじめの方に、地理的な繋がりは見られたのですが…

作品の内容は、とにかく「愛」にまつわる物語。
不倫のような、許されざる愛も多く描かれているのですが、愛情に揺れる心をはじめ、人の心理が描かれているのが印象的でした。

 

 

 

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