赤川次郎さんの『泥棒たちの十番勝負』を読みました。
不動産会社の営業課長・太田は、以前から売却を依頼し続けていた家の主人から、夜中の12時に書類をそろえて持ってくるよう電話を受けた。
道に迷って約束の時間に遅れた太田が、部下の明石涼子の説明でようやくたどり着くと、家の主人・倉橋寿一が殺害されていた。
そこにやってきた同業者の証言で、容疑者にされた太田は、知り合いの元へ身を隠す。
倉橋の家の隠し部屋には、盗品とみられる宝石や現金が山のように保管されていた。
その財宝を狙って、組織と組織の対決が繰り広げられる。
昔の人のつながりがテーマになったような作品です。
そんなに偶然が続くものかと言いたくなるところですが、そこをふっと受け入れさせてしまうのが赤川次郎さんのテクニック。
「十番勝負」とあるだけあって、次々と勝負が繰り広げられます。
本当に十番あったのかも、と思いましたが、数え直すのはやめにしました。
悪くはないんだけど、「夫は泥棒、妻は刑事シリーズ」の初期の作品のような、ハチャメチャな雰囲気がなくて、ちょっと物足りない気がしてしまいます。
真弓にしても、部下の道田刑事にめちゃくちゃな指示を飛ばすんだけど、すぐに「冗談よ」と打ち消してしまったり…
夫の淳一にしても、泥棒として身につけた超人的な技能を駆使して、離れ業をやってのけるといった場面が明らかに減ってしまっているんですよね。
シリーズ名どおり、「夫が泥棒、妻が刑事」というのが1番目立つ存在になってしまっていて、「それで?」というところが抜け落ちちゃっているような…
と、最近のこのシリーズを読むたびにもつ感想に行き着いてしまうのでした…
過去の「赤川次郎」記事
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