赤川次郎さんの『ヴィーナスは天使にあらず』を読みました。
天国から地上へ研修に来た天使のマリと、地獄から成績不良で叩き出された悪魔のポチは、少女と犬の姿になって今日も旅をしている。
美術館の前で画家の黒河岐広に出会ったマリは、今度新しくできる美術館のロビーに描かれることになった〈ヴィーナス〉の壁画のモデルを依頼される。
一方、黒河の娘のアンヌは、同じく画家の杉崎靖夫のモデルになっていた。
公募された油絵の中から1つが選ばれ、壁画になるというのだが、マリはやつれていくアンヌの様子が気になっていた。
「天使と悪魔シリーズ」の第9弾になるそうです。
ミステリを面白くする要素の1つとして、「凸凹コンビ」があると思うのですが、このシリーズは究極の凸凹と言っても良いのではないでしょうか。
人の良い天使と、実は「人間なんて信じられない!」と口走った天使を連れて地獄に凱旋することを夢見る悪魔。
しかも、身元がはっきりしない少女と、連れて歩くだけでも障害になりそうな黒い大きな犬。
そんな設定だからこそ、毎回常識破りの作品が生まれるのかもしれません。
マリを20代半ばくらいにして、ポチをトイプードルくらいにしてしまえば、どこでも働けるし、入っていけるので、天使と悪魔という設定には似つかわしくない、ごく普通の作品になってしまいそうなところですが…
このシリーズの初期の作品は、「天使と悪魔」という主人公の設定は異質なものの、オカルトめいた話はなかったように思います。
しかし、近年の作品では、悪魔の仲間が出てきたり、悪魔崇拝的な考え方が出てきたりと、少しずつ変わってきたなぁと思ってしまいます。
私の好み的には、せいぜい悪魔崇拝程度に抑えてもらえたほうが良いかなって感じ。
悪魔の仲間とか、天使の仲間が出てくるのは、ちょっと違うのかなぁって思ってしまうのですが、皆さんはどうなんでしょう?
過去の「赤川次郎」記事
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過去の「天使と悪魔シリーズ」記事
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