赤川次郎さんの『落葉同盟』を読みました。
フリージャーナリストの松橋泉が国会議員・寺本浩紀のスキャンダルを追っていると、突然、殺人容疑で逮捕されてしまった。
泉は未婚だが、16歳の娘・奈美がいる。
奈美は心の病気で、明るいところに出てこれないという障害を抱えていた。
一方、高校時代に泉に片思いしていた、桐生、山ノ内、唯野、安原の中年4人は、泉を助けるために「落葉同盟」を作って立ち上がる。
実生活では、それぞれ問題を抱える4人だが、桐生の部下・平田あかりらの協力も得て、奈美のサポートと、真相究明に乗り出す。
人を動かす1番の原動力は、「恋」かもしれない!と感じさせられる1冊でした。
桐生ら4人が「落葉同盟」を立ち上げたのも、高校時代の泉への初恋(かどうはわかりませんが…)の思い出でしたし、奈美やあかりをはじめ、恋によって人生が好転していく場面が数多く描かれていました。
作品を通して、物事が良い方向に動き始めようとしているのは感じられるのですが、不安要素があるため、好転しようとしているにも関わらず、重苦しい雰囲気が漂っていました。
それを一蹴して、「これからすべて良い方向へ向くんだ!」と思える瞬間があるのですが、私はそこで思わず唸ってしまいました。
その場面で、この作品がハッピーエンドなんだなと感じたのですが、結末はいかに。
強いてこの作品の不満点を挙げるのであれば、奈美の父親が誰か明かされない点。
途中で、「ひょっとしてこの人?」と思える人物がいたのですが、真実は明らかにされず。
最後まで泉とも奈美とも顔を合わせることがなかったので、「読者の想像にお任せします」ということなのかな?
個人的には、とても面白い作品だと思いました。
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