赤川次郎『恋ひとすじに』

赤川次郎さんの『恋ひとすじに』を読みました。

滝田奈々子の11歳年下の妹・久美が、「彼と2人で幸せになります」と書き置きをして実家を飛び出した。
その久美は奈々子の住むマンションに。
「彼」とは、これから出会う男性を指していて、東京で暮らしたくて家を出てきただけだった。
食事をした帰り道、2人は公園の池で溺れそうになっていた女性を助けることになる。

さらに、「極秘情報がある」と休日に奈々子を呼び出した同僚の中尾ルリが、ショッピングモールのトイレで刺されてしまう。

そんな頃、奈々子が勤める会社「ABカルチャー」が大手総合商社のP商事の傘下に入ることになった。
事前に社にやってきたP商事の若き取締役・湯川は、奈々子に対して思わせぶりな態度を見せる。

タイトルは『恋ひとすじに』ですが、主人公の滝田奈々子は、仕事のできる落ち着いた女性。
「仕事ひとすじ」ではないものの、「恋ひとすじ」といったイメージとは少し外れています。
そういう意味では、東京に出てきた途端、不倫の恋に走ってしまう妹の久美の方が「恋ひとすじ」でしょうか…

ストーリーの方は、「なんだかよくわからなかった」というのが本音…
いろんな方向に拡げすぎたのを、うまく回収できていないという印象を受けました。
大本の動機を知れば、確かにいろんなことに説明がつくのですが、それにしても拡げすぎじゃないのかな?と。
「あれはどうなったんだ?」「これはどうなったんだ?」と、頭の中をクエスチョンマークが飛び回ります。

赤川次郎さんは、そういった状況を「なんだかわかった気」にさせてくれる筆力を持っておられるのですが、この作品では、その筆力を持ってしても収拾がつかないほど、話を拡げすぎてしまった感を受けました。

 

 

 

過去の「赤川次郎」記事

 

 

 

 

 

 

 

にほんブログ村 小説ブログへ
にほんブログ村

 

coralの読書記録 - にほんブログ村

 

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました