赤川次郎さんの『花嫁は三度ベルを鳴らす』を読みました。
あらすじ
片瀬靖代は、夫・耕一と共に東ヨーロッパ旅行で訪れた、ルーマニアのトランシルバニアの山間にある村で、病に倒れた。
夫と、妹の諸岡早紀らが見守る中、靖代が収められた棺は墓地に埋葬された。
棺には墓標につけられたベルに繋がる紐がつけられていて、万が一死者が目覚めた時には、ベルを鳴らして知らせるのだという。
2年後、大学でドイツ語を教える早紀は、姉の夫である片瀬耕一と結婚することになった。
新婚旅行の途中で、姉の墓に立ち寄る計画を立てた早紀だったが、同じ大学の准教授・谷山の恋人である塚川亜由美のもとに、早紀を守ってほしいという依頼が入る。
親友の神田聡子と、愛犬ドン・ファンと共にトランシルバニアの村を訪れた一行は、靖代の墓が掘り返された跡があることに気づく。
感想
「花嫁シリーズ」33弾です。
『花嫁たちの深夜会議』に収められている『花嫁は荒野に眠る』ではアマゾンへ、『花嫁よ、永遠なれ』に収められている『花嫁に明日はない』ではアフリカへ行った亜由美ですが、今回訪れたのはドラキュラ誕生の地、トランシルバニアです。
埋葬された棺の中で死者がよみがえるというので、この地が選ばれたのでしょうね。
赤川次郎さんが得意とするドイツ語圏から外れた、ルーマニアを舞台にした理由がわかったのは、作品を読み終えてからでした…
途中、ドン・ファンが三毛猫ホームズなみの名推理を披露する場面が。
ドン・ファンはドン・ファンらしくあってほしいなと思ったのは、贅沢な悩みなのでしょうか。
亜由美の母・清美も、だんだんとキャラクターが立ってきたような。
初期の作品とは、ちょっと違った印象を持っているのは私だけではないと思います。
でも、清美の役割というものがはっきりとしてきて、これはこれで悪くないのかなと感じています。
表題作の『花嫁は三度ベルを鳴らす』の他に、『花嫁は滝をのぼる』の2作品が収められています。
この、短編でも長編でもない長さが、また面白いポイントなんですよね。
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