赤川次郎『ふたり』

赤川次郎さんの『ふたり』を読みました。

北尾千津子と実加は、同じ私立の女子校の高等部と中等部に通う姉妹。
いつものように、一緒に家を出たふたりだったが、千津子が忘れ物を取りに帰ろうとしたところ、事故に巻き込まれて死んでしまう。
姉の死から立ち直りかけた実加は、学校帰りにピアノの先生の家に向かうが、途中の道で男に襲われる。
その時、頭の中で千津子の声がし、石が落ちている場所を教える。
以来、実加は頭の中の千津子と会話をしながら、大小様々な問題に向き合っていく。

赤川次郎さんの代表作にも挙げられる『ふたり』ですが、この作品を手にするのは今回が初めてです。
なぜ読まなかったのかは、特に理由はないのですが、強いていうなら「有名だから」でしょうか…
天邪鬼的な性格をしているので、「三毛猫ホームズシリーズ」を初めて読んだのも、結構遅かった記憶があります。

何事においても万能選手だった千津子に対して、実加はいつもそこそこの出来。
姉に対して劣等感を抱いていたのですが、姉の事故をきっけに少しずつ変わっていきます。
それこそ「千津子が乗り移った」ように…
頭の中で聞こえる千津子の声に励まされるのと同時に、自分がしっかりしなきゃという自覚が芽生え、目を見張るような成長を見せてくれます。
実加の場合は、姉の死がきっかけになりましたが、人間、何かをきっかけに大化けする可能性があることを、改めて思い出させてくれます。

死んだ人間が現れて…という話は、赤川次郎さんの作品に時々見られるパターンですが、姉妹という関係を上手く使っていると思います。
姉妹だからこそわかりあえる部分や、弱さを見せられる部分など、姉妹愛に溢れた作品になっています。
中学生や高校生にとっては、重い問題も起きるのですが、ふたりだからこそ乗り越えていけたのかなと感じました。

 

 

 

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