赤川次郎『泥棒たちのレッドカーペット』

赤川次郎さんの『泥棒たちのレッドカーペット』を読みました。

上田ルミは、夜逃げ同然に故郷を捨て、東京へ出てきた。
スカウトから声がかかるのを期待して、東京の街を歩くが、そこに修学旅行生を乗せたバスが到着し、昔の友人・結城寿子と再会する。
一緒にお茶をしたルミと寿子だったが、皮肉にもスカウトが目を留めたのは、寿子の方だった。
一方、ルミは建設会社が大臣に取り入るための道具として、垣山大臣の元へ送り込まれる。

感想を一言で言うと、「読みづらい作品」となってしまうでしょうか。
「夫は泥棒、妻は刑事シリーズ」の20冊目となるこの作品ですが、このシリーズを読み慣れている人ほど、同じような印象を持たれるのではないかと思います。
上田ルミに結城寿子、そして垣山大臣たちによるストーリーが前面に出てきていて、今野夫妻の存在感が薄く感じられます。
物語の中盤までは、特にその傾向が強く、ルミや寿子によるストーリーとして読めば良いのか、「夫は泥棒、妻は刑事シリーズ」の作品として読めば良いのか、わからなくなってしまいます。
それが、読みづらさの原因ではないかと思っています。

終盤でこそ、今野夫妻の活躍が目立ちますが、それまでは、ルミや寿子によるストーリーの探偵役として、今野夫妻が出演しているといった感じです。
序盤から、知らず知らずのうちに夫の淳一が伏線を張っていて、それを最後に回収しているので、読み終わったあとは、さすがだなと思わされるのですが、やっぱり、序盤から中盤にかけては、戸惑いを感じますね。
それだけ、舞台がしっかりと描かれているということなのでしょうが。

 

 

 

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