東川篤哉『野球が好きすぎて』

東川篤哉さんの『野球が好きすぎて』を読みました。

東京近郊で、プロ野球選手のサインが入ったレプリカユニフォームを着たファンが、ナイフで脅され、ユニフォームを奪われるという事件が連続して発生。
そのニュースを見た男が、知り合いのカープファンの男性を、一連の事件の1つに見せかけて殺害することを計画する。

捜査にあたったのは、警視庁捜査一課の若手刑事の神宮寺つばめと、その父で同じく警視庁捜査一課の神宮寺勝男警部。
二人は、ベースボール・バーに聞き込みに行き、被害者が常連客だったことを突き止める。

カープファンで知られた東川篤哉さんが、野球をテーマに書かれた5編の短編が収められています。
『カープレッドよりも真っ赤な嘘』、『2000本安打のアリバイ』、『タイガースが好きすぎて』、『パットン見立て殺人』、『千葉マリンは燃えているか』
2016年から2020年まで、1年に1つずつ、プロ野球界で起きた出来事を取り入れた作品になっています。

私のお気に入りは、『パットン見立て殺人』。
2019年8月3日、横浜スタジアムで行われた巨人戦、8回のマウンドに上がった横浜DeNAベイスターズのパットン投手は、1アウトも取れずに2失点で降板。ベンチにあった冷蔵庫を殴打して、利き手である右手を負傷し、登録抹消。
この出来事を巧みに取り入れただけでなく、もう1つ、特殊なあるものを持ち出しています。
一瞬、推理に大きな誤りがあると思った次の瞬間…
これには、完全に「参りました」と、白旗を揚げるしかありませんでした。

これまでも、いろいろな作品で野球愛、カープ愛を織り交ぜてきた東川篤哉さんですが、その野球をテーマに小説を書かせると…
予想を上回る、マニアックな知識のオンパレードになっていました。
でも、推理小説としてもちゃんと成り立っているところが、さすがです。

 

 

 

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