実家にあった大量の赤川次郎本を読み返し中です。
今回は『三姉妹探偵団4 怪奇篇』を読みました。
正月の買い出しに来た三姉妹。
うまいことタクシーを拾えたと思ったら、長女・綾子が、先ほど会った少年から「オレンジ色のタクシーには乗るな」と言われたことを思いだす。
結局タクシーを乗り逃がした三姉妹だが、30分待ってようやくつかまえたタクシーで移動中、先ほどのオレンジ色のタクシーが、トラックに突っ込んで大破しているのを目撃する。
レストランで食事をしながら冬休みの過ごし方を相談していた3人だが、偶然出会った綾子のゼミの教授・沼淵から家庭教師の仕事を依頼される。
山荘に泊まり込みで、姉妹同伴可という条件だ。
次女・夕里子の恋人で刑事の国友を合わせた4人は、さっそく山荘へと向かう。
しかし、そこで待っていたのは、タクシーの事故を予言した少年だった。
「三姉妹探偵団シリーズ」の4作目となります。――って、タイトルを見ればわかるか…
夕里子たち佐々本三姉妹と国友は、綾子が家庭教師をするため、雪に閉ざされた山荘を訪れます。
「雪に閉ざされた山荘」といえば、「館もの」…
雪の中にぽつんと建てられた山荘。唯一の道は雪が崩れて通行止めになり、電話も通じない。そして、ひとり、またひとりと姿が消えてゆく。
これが「館もの」でなければ、いったい何が「館もの」になるのでしょう! と言いたいところですが、この作品からは、そんな古典的な雰囲気は伝わってきません。
古典的な設定を用いつつ、赤川ワールドに落とし込んだ現代的な小説なのです。
赤川次郎さんの手にかかれば、「館もの」だって古典的な雰囲気を排除した、まったく新しい作品に生まれ変わるのだと、あらためてその実力を思い知らされました。
サブタイトルは「怪奇篇」となっていますが、山荘に漂う不気味な雰囲気。そして、じわじわと迫り来る恐怖…
ユーモアミステリーというヴェールに覆われていますが、なかなかに空恐ろしい作品に仕上がっています。
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