内田康夫さんの『逃げろ光彦』を読みました。
赤坂の洋食店で昼食をとった浅見を、店のウェーターが追いかけてきた。忘れ物だと言って手渡された携帯電話は浅見の前に店を出て行った女性のものであったが、浅見はなんとなくその携帯電話を受けとってしまう。その日から都内のホテルでカンヅメになっていた軽井沢のセンセこと内田と携帯電話の中身を確認したところ、麻薬取引を思わせるメールが残されていた。
後日、洋食店で携帯電話を忘れていった女性・井上薫と偶然出会った浅見は、ホテルの薫の部屋でお茶を飲むが、そこに兄・陽一郞から「すぐにそこから逃げろ、光彦」と電話が入る。
内田康夫さんがたびたび苦手だと言っている短編作品です。
内田康夫さんが書いた「浅見光彦シリーズ」の作品106作のうち、短編はわずか5作品だけであることからも、内田康夫さんが短編を苦手としていたことが見てとれます。
しかし、この作品を見る限りでは、そこまで短編を避けることもなかったのではないかと思えます。
起承転結がついたストーリーは凝ったものですし、最後のオチは短編ならではのものになっています。
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