内田康夫さんの『贄門島』を読みました。
千葉県大原町で行われるはだか祭りの取材に訪れた浅見は、同業者の平子裕馬と出会う。平子の高校時代の友人が時化の海に単独で漁に出て帰らぬ人になってしまったという。さらに、他にも死亡事故が続いたという。
はだか祭りの翌日、浅見は父・秀一が生前海難事故に逢ったときにお世話になった人物にお礼を言うため、美瀬島――別名贄門島――へ渡るが、同行した平子が行方不明になってしまう。
スリルに満ちあふれた作品になっています。
なぜそこまで自分の身を危険にさらすのかと、読んでいていたたまれない気分になるほど、今回の浅見は多勢に無勢の状況で捜査を展開します。
これまで幾度となく危険な目に遭ってきた浅見ですが、本作品ほどスリルを感じさせられる作品はなかったのではないでしょうか。
執筆当時、世間を賑わせた北朝鮮からのものとみられる「不審船」を物語の中にうまく取り入れています。
読者ばかりでなく、内田康夫さん自身も、こうもうまく物語にはまるとは思わなかったのではないだろうかと思いました。
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