内田康夫『鐘』

内田康夫さんの『鐘』を読みました。

夜中の十一時をまわったころ、浅見家が代々檀家世話人を務める聖林寺の鐘が鳴った。一夜明けて住職が鐘を調べたところ、鐘から鐘楼の地面に多量の血液が滴っていた。それから半月ほど経ったある日、隅田川に弓岡正の遺体が浮いているのが見つかった。弓岡の顔には聖林寺の鐘の撞き座の紋様の傷が残されていた。
弓岡正が殺害される十日町程前、広島県の因島で自殺を止めようとした男性・畑谷昇が殴られた上、自殺者・松川義雄は制止を振り切って自ら命を絶ってしまうという事件が発生していた。
弓岡、畑谷、松川の出身地が高岡市だったことを突き止めた浅見は、梵鐘の産地高岡へと向かう。

初めてこの作品を読んだ時は、隠れた名作じゃないかと感動した覚えがあるのですが、今回読み直してみると正直がっかり。こんな作品だったっけ?といった印象でした(どう感じるかはその時の体調にも依るのですが…)。

話の展開が遅くてボリュームの割にストーリーが進まないし、遺体にコンクリートブロックを結びつけて川に投棄して遺体が見つからないように遺棄しておきながら、聖林寺の鐘に手の凝った細工をしておくなど、説明しきれていない矛盾などが見受けられました。
とはいえ、これだけの事件を一つにまとめ上げたところはさすがといったところでしょうか。

 

 

 

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