内田康夫さんの『神戸殺人事件』を読みました。
浅見は源平、一の谷の戦いの取材で神戸を訪れる。その夜、取材相手の松村と神戸の街を歩いていたところ、女性が助けを求めてくる。浅見の機転でその場を乗りきったのだが、女性は「赤い寺 白い犬」と書かれた謎の紙を残して立ち去ってしまう。しかも、次の朝、松村の死体が神戸の沖合で発見される。
一方、三木市にある呑吐ダムでは、芦屋にある小野田家へ商談で来ていた画廊の社員が殺害されているのが発見され、相棒の社員も布引の滝で死体が発見される。
源義経の鵯越で有名な一の谷の戦いですが、この作品を読むまで現在の鵯越と一の谷が直線距離で十キロメートル以上も離れているなんてことは知りませんでした。人生の七割以上を兵庫県内で暮らしているにも関わらず、なんとも恥ずかしい話です…
この作品はいつもと少し違った描き方がされていて、真相に迫るのは浅見の役割ではなく、ヒロインの小野田亜希であったり、小野田家の使用人・太田トミ子の役割だったりします。
この作品で描かれている「神戸」は、六甲山と海に挟まれた狭い範囲になっています。実際の神戸市は西にも北にも、もっともっと広いのですが、「観光地神戸」として見た時には三宮、元町、北野といった辺りが中心になってしまうのは致し方ないのかなぁと思いつつ、地元民としてはちょっと残念に思いました。
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