内田康夫『隅田川殺人事件』

内田康夫さんの『隅田川殺人事件』を読みました。

結婚式場に向かう花嫁・津田隆子が、隅田川を往く水上バスから消えた。その披露宴には浅見の母・雪江が新郎・池沢の友人として招かれていた。十日後、築地の掘割で女性の全裸遺体が見つかる。見つかった女性は隆子ではなかったが、池沢の遠縁にあたる人物だった。

舞台が東京都いうことで、旅情ミステリーとしての要素は少ないのかなぁと思ったのですが、水上バスをうまく取り入れていることで、楽しく読むことができました(都内の方にはあまり効果がないのかも知れませんが…)。

今回の作品では、花嫁が水上バスから消えるという人間消失トリックが用いられています。
“模範解答”として2つの解が用意されているのですが、いずれも簡単なもの。ですが、盲点を突かれているためになかなか思いつきません。
他の作家さんなら、このトリックの解を犯人に示して罪を認めさせるところなのでしょうが、内田康夫さんの場合、それが無いんですよね。物足りないような気もしますが、内田康夫さんのこういったやり方に慣れてしまったのか、最近ではあまり気にならなくなってきました…

そして、この作品の結末は実に曖昧なものになっています。
それがいかがなものかと仰る方もおられるようですが、私はこれはこれで良いと思っています。
すべてを浅見に任せてしまうのではなく、自分の頭の中でも同時に推理を行っていくのも楽しいのではないでしょうか。
そんな楽しみを得るためのスパイスのようなものではないかと思いました。

 

 

 

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