内田康夫さんの『城崎殺人事件』を読みました。
浅見は母・雪江のお供で城崎を訪れるが、旅行の途中、廃墟となったビルでの自殺事件に遭遇する。そこは、過去に金の先物取引で何千億円もの詐欺被害を出した保全投資協会がかつて入っていたビルで、自殺者はこの1年で3人目になるらしい。
浅見が借りたレンタカーのブレーキが効かなくなったりと、浅見の周りにも不審な影が見え隠れする。
この作品は浅見が母・雪江と共に城崎へ旅するという設定になっていて、全編を通して雪江が登場することになります。
浅見が雪江を持ち上げたり、雪江が浅見の出過ぎた言動を諫めたりと、親子ならではの掛け合いが見られて面白い。
普段ああだこうだと言いあっている2人であるが、やはり親子なのだなぁと微笑ましく思えてしまいました。
それにしても、今回のプロローグは非常に美しいプロローグでした。
内田康夫さんはプロットを作らずにいきなり執筆にかかるという方法を取られているため、プロローグは導入としての意味合いが強い作品が多いのですが、この作品ではクライマックスにおよんで、プロローグの映像が頭に浮かぶようでした。
過去の「内田康夫」記事
コメント