内田康夫さんの『後鳥羽伝説殺人事件』を読みました。
浅見光彦初登場となるこの作品は、他の「浅見光彦シリーズ」とは少々趣の違った作品になっています。
というのも、当初この作品に浅見光彦が登場する予定はなく、途中まで書き進めたところで内田康夫さんのデビュー作『死者の木霊』と同じような流れになってきたために急遽用意された登場人物なんだとか。
そのため、物語の前半は浅見光彦の物語ではなく、広島県警三次警察署の野上巡査部長の物語になっています。
また、『後鳥羽伝説殺人事件』では浅見に2人の妹がいることになっていますが(1人は8年前に死亡)、以降の作品ではその妹の存在を内田康夫さんがすっかり失念しており、ずっと経ってから読者に指摘されたという逸話も残されています(以降の作品では、もう1人の妹・佐和子はアメリカに行きっぱなしという設定になっています)。
結末についてはアンフェアだという意見もあるようですが、よくよく読んでみると、しっかりと伏線が張られていることがわかります。
「ミステリとはこういうものだ」という先入観を取り除いて読めば犯人が見えてくるのかも知れません。
過去の「内田康夫」記事
コメント