内田康夫さんの『孤道』を読みました。
これまで、内田康夫さんの作品は図書館で借りるか、古書店で購入するかして読んでしましたが、この作品は書店で購入しました。
その理由は始めのページにあります。
「本作品は、完結しておりません。」
作者の内田康夫さんは、この作品を連載中に脳梗塞を発症され、今も左半身が麻痺されているそうです。
そのため本作品も連載途中で休筆。未完成のまま発行されることになってしまいました。
この作品の結末がどうなるかは…一般公募!
浅見光彦ファンはたくさんいますので、きっと素晴らしい結末が待っているのでしょう。
なお、応募の締め切りは2018年4月末日となっています。
作中でも、軽井沢の先生こと内田康夫さんが、原因不明の病におかされている場面が出てきます。
この時から不調を感じられていたのでしょうか…
痛々しく感じながら拝読しました。
さて、舞台は熊野古道。
恥ずかしながら、私はこの作品に触れるまで熊野古道のことは、名前と和歌山県に存在する世界遺産に登録された古道というくらいの知識しか持ち合わせていませんでした。
実際には、淀川河口の渡辺津から熊野三山(熊野本宮大社、熊野速玉大社、熊野那智大社)へ参拝するための道で、紀伊路、小辺路、中辺路、大辺路、そして伊勢神宮へ向かう伊勢路の5つの道からなっているそうです。また、それらの道は、大阪府、奈良県、和歌山県、三重県の1府3県に股がっているのだとか。
このうち、この作品では主に中辺路、紀伊路が舞台になっています。
といっても、熊野古道自体が舞台になっているわけではなく、今のところ熊野古道上に存在するポイント、ポイントが舞台として登場するだけで、これがどう線で繋がれるのか、はたまた繋がれないのかは「完結編」を書く人次第。
実は身の程知らずな私も「完結編」に挑戦してみようかとも思ったのですが、藤原鎌足が埋葬されているとも言われる大阪府高槻市の阿武山古墳など、考古学の知識が必要になりそうだとわかった所で躊躇。さらに、物語の途中から出てくる昭和9年頃に書かれたとされる日記の文語体で撃沈。見通しが甘過ぎました…
とはいっても、ストーリーさえ1本通してしまえば、文語体表記なんて後からなんとでもなるかな?なんてまた身のほど知らずなことを。
作品としては未完成のままですから、ミステリーとして楽しむぶんには物足りないも何も…といった感じでしょうが、このあとどう展開していくのだろうと想像するぶんには、これ以上のものは無いのではないでしょうか。
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