内田康夫『平家伝説殺人事件』

内田康夫さんの『遺譜 浅見光彦最後の事件』を読んで、ふと『平家伝説殺人事件』を読みたくなりました。
この本はかれこれ20年ほど前、内田康夫さんの小説を読み漁っていた時に読んだはず…なのですが、すっかり記憶の彼方へと飛んでいってしまっていたようです。初めて手に取るような気持ちで最後まで読むことができました。

まず感じたのが、文体、かな表記が古い!(笑) もちろん松本清張みたいとまでは言いませんが、最近はほとんどリアルタイムの作品ばかりに触れていた私には、内田康夫さんも以前はこんな文章だったのかと新鮮な驚きでした。調べてみると、この作品が発表されたのは1985年のことだそうです。30年余りでこれだけ変わってしまうものなんですね。

さて、真面目に。
この本を読んで1番驚いたのは、内田康夫さんとは思えないくらい(失礼!)、ミステリーとしても筋が通っていてよく練られた作品だったこと。なぜ失礼を承知でそのようなことを言ったかと言うと、以前先生のあとがきを読んだ時に、比較的その場の思いつきで書き進めていて、1度なんかは筆が進まないばっかりに犯人にしようと考えていた人物を被害者にしてしまったというエピソードを読んだことを覚えていたからです。
まぁ、そういう意味ではこの作品も…

トリックは私でも想像できましたが、密室殺人を扱ったりと本格ミステリーさながらのストーリー展開。浅見光彦シリーズの初期はこんなだったんだなぁと新鮮な気持ちで読ませていただきました。

そして、もう1つ。この作品で浅見光彦が恋に落ちているではありませんか!いつもそういったことには鈍感というか、1歩退いたところで構えている”草食系男子”のイメージでしたが、おいおい、なかなかやるじゃないと。

それにしても、TVの2時間ものに引っ張りだこの浅見光彦シリーズですが、改めてこのシリーズはドラマ化しやすそうだなぁと思ってしまいました(どこを見ているんだか)。わかりやすいストーリー、地方への”取材”、兄が警察庁幹部という”水戸黄門の印籠”、毎回変わるヒロインなどなど。そのまま映像化してしまっても良いくらい、2時間ドラマに必要な要素が含まれているではないですか。
今回読んだ『平家伝説殺人事件』も、ちゃんと起承転結がつけられていて、とても行き当たりばったりで書かれたとは思えませんでした(たびたび失礼!)。

 

 

 

過去の「内田康夫」記事

 

 

 
 
 
 

 

にほんブログ村 小説ブログへ
にほんブログ村

 

coralの読書記録 - にほんブログ村

 

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました