感想

├ 知念実希人

【読書】知念実希人『硝子の塔の殺人』

科学者にして大富豪、そしてミステリフリークの神津島太郎が、ミステリの歴史が根底から覆される発表を行うために、6人の客を〈硝子の塔〉に招待した。医師の一条遊馬は、その発表前に神津島の部屋を訪ね、フグ毒を飲ませて殺害する。予定外の出来事はあったものの、遊馬は神津島の部屋を密室にして、他の客人に紛れ込むことに成功する。しかし、翌朝、執事の老田真三がダイニングで殺害されているのが発見される。遊馬は、老田殺しの犯人に神津島殺しの罪も着せてしまおうと、名探偵の巴円香の助手を買って出る。
├ 濱嘉之

【読書】濱嘉之『警視庁公安部・青山望 濁流資金』

仮想通貨取引所〈京都ゴックス〉の社長が、朝家を出たところで銃殺された。同じ頃、〈京都ゴックス〉の創業者の親戚筋が社長を務める〈帝国ゴックス〉から、不正アクセスによって250億円相当の仮想通貨が失われてしまう。さらに、著名人が立て続けに急性心不全で死亡する、連続不審死事件が発生する。警視庁公安部に復帰した青山望は、部下や警察同期生らを駆使して、事件に立ち向かう。
├ 赤川次郎

【読書】赤川次郎『向日葵色のフリーウェイ 杉原爽香50歳の夏』

杉原爽香は、かつての恩師・河村布子から、布子の知人で元保健室の先生・小川久子の娘について相談を受ける。久子の娘・智子は殺人罪で服役中だが、冤罪ではないかというのだ。また、久子が勤めていた学校の同窓会に参加した日下邦弥は、当時のマドンナ・水科玲美と再会し、恋の炎が再び燃え上がるが、玲美から怪しい副業を持ちかけられる。
├ 大倉崇裕

【読書】大倉崇裕『一日署長』

警察学校を首席卒業した五十嵐いずみが配属されたのは、警視庁本部庁舎の地下3階にある史料編纂室。ここで1人、手書きの捜査資料を電子化していくのが仕事だ。しかし、1985年に発生した犯人未検挙の事件の資料を入力すると、パソコンの画面が白く光り、いずみは事件当時の所轄署の署長室に座っていた。
└ 中山七里

【読書】中山七里『嗤う淑女二人』

高級ホテルで開かれた中学の同窓会。乾杯のために配られた飲み物に毒物が入れられており、参加者20名のうち、国会議員の日坂浩一を含む17名が死亡した。約半月後、今度は高速道路を走行する大型バスの中で爆発が起き、防音壁に突っ込んだバスに乗っていた29名のうち、26名が死亡した。1つめの事件の被害者の1人である日坂は、「1」と書かれた紙を持っており、2つめの事件の被害者の1人であるバスガイドの高濱幸見のバッグの中からは、「2」と彫られた金属板が見つかる。
├ 綾辻行人

【読書】綾辻行人『霧越邸殺人事件』

東京の劇団「暗色天幕」の団員7名と小説家の鈴藤稜一は、ホテルの送迎バスのエンジンが故障した上、吹雪に遭って、偶然たどり着いた霧越邸に宿を借りる。霧越邸には、雪で帰宅を諦めた医師・忍冬がいた。その日の夜、「暗色天幕」の団員・榊由高が殺害されるが、死体の置かれていた状況が、北原白秋の詩『雨』の見立て殺人になっていると考えられた。
├ 大倉崇裕

【読書】大倉崇裕『白虹』

夏の間、神凪沢の山小屋でバイトをする五木健司は、登山ルートから離れた場所で怪我をして動けなくなっていた名頃章を発見し、救助する。山に関して初心者だった名頃は、恋人の奥村裕恵が仕事で山に行けなくなってしまったため、代わりに神凪沢で写真を撮るために登ってきたのだという。しかし、その名頃が裕恵を殺害し、自らも車で崖下に転落して死亡するという事件を起こしてしまう。
├ 小路幸也

【読書】小路幸也『シー・ラブズ・ユー』

『百科事典は赤ちゃんと共に』〈東京バンドワゴン〉の隣りに建つアパート〈曙荘〉に住む学生が、祖父のものという『古事類苑』の60冊版全巻揃いを売りに来た。しかし、買取後に中を確かめてみると、1冊だけ中がくりぬかれた巻が見つかった。同じ頃、〈東京バンドワゴン〉のカフェでは、籠に入った3、4ヶ月の赤ちゃんが置き去りにされているのが見つかる。
├ 石川智健

【読書】石川智健『断罪 悪は夏の底に』

警視庁捜査一課の刑事・青山陽介は、ノミ屋殺しの犯人として、川岸が挙げられたのが気に食わない。川岸を逮捕するための証拠を持ってきて、逮捕を指示した稲城勇人検事は、証拠を捏造してでも、迅速に犯人を挙げて事件を終わらせることが、社会の安定化に繋がるという過激な思考の持ち主だった。青山は、その稲城検事から、武蔵野東警察署管内で不審な失踪事件が続いているとして、調査を命じられる。
└ 中山七里

【読書】中山七里『TAS 特別師弟捜査員』

放課後空けててね、絶対だよほとんど話をしたことがない学校のアイドル・雨宮楓は、高梨慎也にそう言い残し、昼休みに4階の窓から飛び降りた。学校の理事に名を連ねる国会議員からのストップがかかったことで、警察は表向きの捜査を中止するが、捜査一課の刑事で慎也の従兄の葛城公彦は、慎也に内情を探ってほしいと依頼する。帰宅部だった慎也は、さっそく楓が所属していた演劇部に入部するが…
▼著者 タ行

【読書】高木彬光『人形はなぜ殺される』

新作魔術発表会で披露する予定だったギロチンの魔術。タネとして用意していた人形の首が楽屋から盗まれ、魔術は急遽中止される。しかし、その4日後、魔術会で首を切られる役だった京野百合子が、本当にギロチンで首をはねられて死亡しているのが見つかる。しかも、百合子の首は持ち去られ、代わりに楽屋から盗まれた首が置かれていた。名探偵・神津恭介が事件に挑むが、2人目、3人目の被害者が出てしまう。
└ 森博嗣

【読書】森博嗣『オメガ城の惨劇 SAIKAWA Shohei’s Last Case』

孤島にそびえるオメガ城。そこに、7人の男女が集められた。物理学者、数学者、心理学者、医者、画家、記者、そして研究者のサイカワ・ソウヘイ。招待状の差出人の名前は、マガタ・シキ。マガタ・シキが飛び入り参加するというサプライズが起きた晩餐の後、4部屋の客室で死体が見つかるという異常事態。しかも、島の外への電話やインターネットが使えないという事態に…
├ 小路幸也

【読書】小路幸也『東京バンドワゴン』

『百科事典はなぜ消える』堀田家は明治時代から続く古書店〈東京バンドワゴン〉を経営している4世代8人の大家族。その古書店に、朝になると百科事典が2冊増え、夕方にはなくなっているという珍事が発生。どうやら、近くのマンションに住む小学1年生・大町奈美子が関わっているようなのだが……
▼著者 海外

【読書】アンソニー・ホロヴィッツ『カササギ殺人事件』

パイ屋敷で働く家政婦・メアリ・ブラキストンが、屋敷の階段から転落して死亡した。当時、屋敷は密室になっており、警察も事故であると判断したが、村人たちの間では、メアリの息子・ロバートが殺害したのではないかとの噂が立つ。ロバートの婚約者・ジョジー・サンダーリングは、名探偵アンティカス・ピュントのもとを訪ねるが、探偵にできることは限られていると、断られてしまう。しかし、今度はパイ屋敷の主人・サー・マグナス・パイが殺害される事件が発生する。ピュントは助手のジェイムズ・フレイザーとともに村へ向かう。
├ 大倉崇裕

【読書】大倉崇裕『生還 山岳捜査官・釜谷亮二』

黒門岳付近の斜面で、滑落事故が発生した。滑落したのは、中村貴代美。光沢入口から入ってピークを越え、黒門小屋で1泊。翌日一戸口に下山する予定だった。新米山岳遭難救助隊員の原田昌幸は、先輩の釜谷亮二と共に黒門岳を目指す。ナイフが突き刺さった黄色のダウンジャケットや、ポケットに入れられていた吸い殻など、遺体にはいくつか不自然な点が見受けられた。
├ 濱嘉之

【読書】濱嘉之『警視庁公安部・青山望 機密漏洩』

長崎県の平戸島に、難破船が漂着した。中からは5人の遺体が発見され、いずれも射殺されていた。さらに、船内から元自衛官の指紋が見つかる。一方、琵琶湖でも、停泊していた漁船の中から、2人の射殺体が発見される。麻布署警備課長の青山らは、チャイニーズマフィアから対中通商、機密漏洩問題に挑む。
▼著者 マ行

【読書】道尾秀介『向日葵の咲かない夏』

終業式の日、ミチオは夏休みの宿題やプリントを持って、学校を休んでいたS君の家を訪ねる。しかし、ミチオが家の中に入ると、S君は首を吊って死んでいた。慌てて学校に戻ったミチオの話を聞いて、担任の岩村が警察とともにS君の家に向かうが、S君の死体は消えていた。その頃、町では石鹸を口に入れられ、脚を折られた犬猫の死骸が見つかる事件が続いていた。そして、蜘蛛に姿を変えて甦ったS君が、ミチオの前に現れる。
├ 宮部みゆき

【読書】宮部みゆき『R.P.G』

カラオケボックスでアルバイトの女性・今井直子が殺害される。3日後、今度は建築中の建物の中で、所田良介が殺害されるが、遺留品などから2つの事件は同一犯によるものと断定される。所田は、インターネット上で妻、息子、娘役の4人とチャットやメールを楽しんでおり、理想的な家族を創りあげていた。警察は所田のインターネット上での家族を署に呼び、実の娘・一美に、見覚えのある人物がいないか確認する。
├ 内田康夫

【読書】内田康夫『不知火海』

雑誌編集者の坂本は、アパートの隣人・米村から木箱を預かる。一向に取りに来る気配がないため開封してしまうが、中には人間の頭蓋骨が入っていた。扱いに困った坂本は頭蓋骨を浅見に預けるが、空き巣に入られてしまう。さらに、過去に仕事を世話したことで交流深めるあるモデルの西島千恵が行方不明になってしまう。浅見は千恵の後を追って九州へと向かう。
├ 伊坂幸太郎

【読書】伊坂幸太郎『ラッシュライフ』

仙台を目指す画商と画家、プロフェッショナルな空き巣を自尊する男、夫と別れて不倫相手との再婚を目指す心理カウンセラー、職を失ってから再就職口が見つからない男性…様々な事情を抱えた男女らの人生が、仙台を舞台に絡み合う。
├ 恩田陸

【読書】恩田陸『蜜蜂と遠雷』

3年に1度開かれる芳々江国際ピアノコンクール。世界5ヶ所で行われたオーディションを突破した90人の中から、本戦に進めるのはわずか6人。養蜂家の父親について各地を転々とし、家にピアノを持たない風間塵。かつて母の死をきっかけに表舞台から去ってしまった栄伝亜夜。亜夜に誘われてピアノをはじめたマサル・カルロス・レヴィ・アナトールらが、互いにリスペクトしあいながらコンクールに挑む。
└ 森博嗣

【読書】森博嗣『歌の終わりは海』

探偵事務所を構える小川令子は、作詞家・大日向慎太郎の妻・聖美から、慎太郎の浮気調査を依頼される。手始めに1週間慎太郎の動きを確認した令子と加部谷恵美だったが、慎太郎が屋敷の外へ出たのは、犬の散歩が2回と海の見える橋の上で涙を流す姿だけだった。聖美からは調査の継続を依頼されるが、大日向家の離れに住む慎太郎の姉・沙絵子の死体が発見される。沙絵子は車椅子生活を続けていたが、床から4.5m離れた梁から1mくらい下で首を吊っていた。警察は、何者かが自殺幇助を行ったとみて捜査を行う。
└ 中山七里

【読書】中山七里『スタート!』

近年のテレビのスペシャル版化した映画に嫌気がさした助監督の宮藤映一は、久々に名映画監督・大森宗俊がメガホンをとると聞きつけ、大森のもとに駆け参じた。しかし、ここにも時代の波が押し寄せており、制作は共同委員会方式をとり、テレビ会社が幹事を努めることになった。プロデューサーとして、テレビ会社から曽根が派遣されたが、スタジオでモニタを見ていた際に、天井から落ちてきたライトの下敷きになってしまう。
├ 濱嘉之

【読書】濱嘉之『警視庁公安部・青山望 報復連鎖』

大間から築地へ運ばれたマグロの木箱の中に、凍りづけになった男の遺体が混じっていた。男は腹を切り裂かれ、内臓が取り出されていた。捜査を進めると、背景にチャイニーズマフィア、日本の暴力団、暴走族上がりの連中の闘争が見え隠れしてきた。そんな矢先、大間の海岸で、またもや腹を切り裂かれた男性の死体が発見される。