レビュー

├ 大倉崇裕

大倉崇裕『アロワナを愛した容疑者』

内閣管理室室長・馬力階二郎の三男・光吉がマンションの1室で殺害された。室内でアロワナが飼われていたことから、警視庁総務部動植物管理係の須藤と薄に声がかかるが、2人を待っていたのは10年前にシンガポールで略奪された〈クレセント〉と呼ばれる個体であることがわかる。事件の裏に、フィッシュ・マフィアの影が見え隠れして…
└ 森博嗣

【読書】森博嗣『数奇にして模型』

M工業大学近くの公会堂で行われていた模型交換会の控室で、モデル・筒見明日香の首なし死体が発見された。控室は密室状態だったが、中ではM工業大学大学院生の寺林高司が頭を殴られて倒れていた。同じ夜、寺林が所属するM工業大学の研究室でも、大学院生の高倉裕子が首を絞められて殺害された。裕子が殺害された部屋も密室だったが、公会堂の控室、研究室両方の鍵を所持していた寺林に疑いがかかる。
└ 中山七里

【読書】中山七里『恩讐の鎮魂曲』

埼玉県にある特別養護老人ホームで、介護士が入居者に殺害されるという事件が発生した。加害者は、かつて医療少年院で教官をしていた稲見武雄。少年時代、〈死体運搬人〉と呼ばれた凶悪事件を起こして医療少年院に入った御子柴礼司の担当教官その人だった。御子柴は、稲見の弁護を引き受け、裁判で無実を訴える。
▼著者 サ行

【読書】佐藤青南『嘘つきは殺人鬼の始まり SNS採用調査員の事件ファイル』

「あなた、誰?」SNS採用調査員・潮崎真人が玄関の扉を開けると、見知らぬ女性が立っていた。そして気づくと、目の前には天井が広がり、鼻からは血が…女性は、潮崎が調査した首都テレビの志望者・灰原茉百合だった。潮崎の調査によって、SNSの裏アカウントがバレ、不採用になったと苦情を言いに来たのだった。茉百合はそのまま住居兼事務所に通い始め、裏アカ調査の手伝いを始めたが、調査の過程で殺人犯のものらしきアカウントを発見してしまう。
└ 森博嗣

【読書】森博嗣『今はもうない』

笹木は、婚約者の知人であるファッションデザイナー・橋爪怜司の別荘を抜け出し、森林鉄道の線路跡を散歩していたところ、叔母とケンカして別荘を飛び出してきた西之園萌絵と出会う。別荘に帰りたくない萌絵は、笹木に車で送って欲しいとお願いするが、橋爪氏の別荘に辿り着く前に雨に降られてしまう。結局、萌絵は橋爪氏の別荘で1夜を明かすことになったが、その嵐の晩、別荘の客であった朝海由季子、耶素子姉妹が3階の映写室と遊戯室でそれぞれ死亡しているのが見つかったが、2つの部屋には鍵がかけられていた。
└ 米澤穂信

【読書】米澤穂信『春期限定いちごタルト事件』

恋愛関係にも依存関係にもないけど、互恵関係にある小鳩常悟朗と小左内ゆきは、揃って船戸高校に入学した。4月も半ばになり、小鳩と小左内が帰りに新しくできたクレープ屋による相談をしているとき、小鳩の小学校の同級生・堂島健吾から招集がかかる。女子生徒のポシェットが盗まれたので、探すのを手伝って欲しいという。5人で30分かけて探し回ったが、ポシェットは見つからなかった。しかし、小鳩は持ち前の推理力を発揮して…
├ 赤川次郎

【読書】赤川次郎『グリーンライン』

秋川裕果は、公立中学からT女子学院へ編入した。そのT女子学院の廊下の真ん中には緑の線が描かれており、生徒はその線の上を歩く決まりになっていた。裕果が高校3年生になったある夜、ボーイフレンドの長久保元久と公園を歩いているところを、4人組の不良に襲われた。7年間眠り続けた裕果だったが、奇跡的に意識を取り戻す。その一方で、時効を間近に控えた4人の男たちは色めき立つ。
├ 宮部みゆき

【読書】宮部みゆき『希望荘』

介護施設〈はなかご老人ホーム〉に入居していた武藤寛二が、ランニング中の女性が殺害された事件を報じるニュースを見ながら、犯人はそんなつもりはなかったんだけど、つい頭に血がのぼって、手を出しちまったんだ。俺はよく知ってる。と話していた。武藤の死後、息子の相沢幸司は、武藤が生前事件を犯していたのではないかと心配し、杉村三郎に相談する。
├ 大倉崇裕

【読書】大倉崇裕『クジャクを愛した容疑者』

金持ちの令息令嬢が通うことで有名な学同院の学生・栄野川明夫が殺害された。河川敷に遺棄された栄野川の死体の傷口にはクジャクの糞が付着しており、手にはクジャクの羽が握られていた。容疑者としてあげられたのは、学同院のクジャク愛好会の会長・高木悠介。
└ 中山七里

【読書】中山七里『連続殺人鬼カエル男ふたたび』

世間を恐怖のどん底に陥れた〈カエル男連続猟奇殺人事件〉から10ヶ月、〈カエル男〉を名乗っていた当真勝雄が再び動き出した。標的になったのは精神科医の御前崎教授。カエルの中に爆竹を入れて破裂させたように、御前崎教授をバラバラに爆破してしまった。ア行の5人を殺害したあとは、サ行へ。カエル男の魔の手は関東一円へと拡がる。
└ 米澤穂信

【読書】米澤穂信『Iの悲劇』

南はかま市の職員・万願寺邦和は、無人となった旧簑石村に市街から定住者を募る市長直轄のIターン推進プロジェクトを担当する甦り課に転属になった。意外にも結構な数の移住希望者の応募があり、その中から選ばれた十数組が実際に簑石に移住してきたが、移住者からは様々な要望、苦情が甦り課に寄せられる。万願寺と同僚の観山遊香はこまめに簑石に足を運び、献身的に移住者をサポートするが、1人、また1人と移住者たちは簑石を去って行く。
└ 中山七里

【読書】中山七里『追憶の夜想曲』

法外な弁護料と引き換えに、依頼人に有利な判決を引き出すことで悪名高い弁護士・御子柴礼司。その御子柴が、高額な弁護料など見込めない夫殺しの被告・津田亜季子の弁護を自ら買って出た。対する検察は、御子柴の因縁の相手・岬恭平自らが法廷に立つ。
└ 森博嗣

【読書】森博嗣『夏のレプリカ』

西之園萌絵の友人で地方議員の娘・簑沢杜萌が実家に帰省した夜、両親と姉は客人の車に乗ってどこかへ出かけたあとだった。そして翌朝、簑沢家に誘拐犯の1人が押し入ってきた。その誘拐犯はリビングの壁に飾ってあった仮面を身につけていた。
├ 宮部みゆき

【読書】宮部みゆき『ペテロの葬列』

今多コンツェルンのグループ広報誌の副編集長・杉村三郎は、編集長の園田瑛子と取材の帰りに乗ったバスが、佐藤一郎と名乗る老人にハイジャックされた。佐藤は人質たちに慰謝料を払う約束をしていたが、警官突入の際に自殺してしまった。1ヶ月ほど経った頃、人質になった人たちの元へ、本当に数百万円の慰謝料が送られてきた。杉村たちが、この金を受け取って良いものか思案しているうちに、事件の背景にネズミ講詐欺の存在が見え隠れしてきた。
└ 森博嗣

【読書】森博嗣『月は幽咽のデバイス』

オオカミ男が出ると噂される篠塚邸でパーティが開かれた。瀬在丸紅子や保呂草潤平が招待されたが、途中から麻雀の面子として小鳥遊練無と家具山紫子、2人と一緒にいた森川素直が呼び出された。しかし、3人が着く直前、屋敷のオーディオルームで見るも無惨な死体が発見される。死んでいたのは、パーティの出席者の一人・歌山佐季。衣類は引きちぎられ、床一面には死体が引きずり回されたかのように血痕が残されていた。
└ 米澤穂信

【読書】米澤穂信『いまさら翼といわれても』

夏休み最初の日、神山高校古典部の部長・千反田えるは、地域の合唱祭に出演することに。しかし当日、自宅にいた折木奉太郎に、伊原摩耶花から、千反田がホールに現れないと電話がかかってきた。奉太郎はホールにいた合唱団員から話を訊き、千反田の居場所を推理する。
└ 東野圭吾

【読書】東野圭吾『魔力の胎動』

鍼灸師の工藤ナユタが定期的に針を打っているスキージャンパー・板屋幸広は、膝の怪我などの影響があり、選手生命を閉じようと考えていた。流体工学の研究を行っている筒井准教授を訪ねてきた羽原円華は、試合当日の風を読み、自分が指示するタイミングでスタートしてほしいと板屋に進言する。
└ 中山七里

【読書】中山七里『さよならドビュッシー前奏曲 要介護探偵の事件簿』

建築士の烏森健司が殺害された。烏丸は、不動産会社の社長・香月玄太郎が売った土地に建築中の戸建て住宅の中で絞殺されていたが、現場は密室だった。殺人犯が近所に住んでいるかもしれないということで、周辺の住宅の購入を渋る客が出てきたため、玄太郎は自ら事件解決に乗り出す。
└ 森博嗣

【読書】森博嗣『幻惑の死と使途』

脱出マジックを得意とする有里匠幻が、屋外ステージでの脱出マジックの最中、ステージの上で胸をナイフで刺されて殺害された。犯人はどこから現れて、どこへ消えたのか、警察は途方に暮れる。さらに、告別式のあと、霊柩車に乗せられた棺の中から、匠幻の遺体が消滅する。匠幻は葬儀の最後に、「諸君が私の名前を叫べば、どんな密室からも抜け出して見せよう」と、事前に録画したビデオを流していた。
└ 米澤穂信

【読書】米澤穂信『ふたりの距離の概算』

4月になり、折木奉太郎らが通う神山高校にも新入生が入ってきた。奉太郎と千反田えるらが所属する古典部も、形ばかりの勧誘活動をしていたところ、大日向友子が入部したいと言ってきた。しかし、5月末の本入部届締め切りの日の前日、大日向は古典部に入部しないと言い出した。そして、翌日は神山高校のマラソン大会。奉太郎は2万メートルを走る時間を、大日向が突然古典部に入らないと言い出した理由を推理する時間に充てることにする。
└ 中山七里

【読書】中山七里『総理にされた男』

何の因果か、時の首相・真垣統一郎に瓜二つの売れない俳優・加納慎策は、舞台の前座で行う真垣のモノマネで人気が出かかっていた。そんな時、同棲という名の下に転がり込んでいた恋人・安峰珠緒の部屋から出たところで2人組の男に拉致されてしまった。慎策が連れて行かれたのは総理大臣官邸!そこで待ち受けていた官房長官の樽見政純は、真垣が感染症にかかって意識不明のため、復帰までの間、慎策に代役を頼みたいのだと言う。
├ 赤川次郎

【読書】赤川次郎『半分の過去』

皆川祐子は、駅前のロータリーで、夫の伸夫が若い女性が運転する赤い車から下りるのを見てしまう!しかし、女性は、伸夫の大学の友人で、警察に追われている成田の妻・圭子だった。伸夫は祐子に内緒で、2人が逃げるのを手助けしていた。収入面で家庭を支えている伸夫が犯人隠匿で捕まっては大変と、祐子は伸夫に内緒で2人を別の家に引っ越しさせて、面倒を見ることにする。
├ 大倉崇裕

【読書】大倉崇裕『蜂に魅かれた容疑者』

路線バスの車内にスズメバチが迷い込む事件が発生。剣道3段の老人が丸めた新聞紙で一撃して事なきを得たが、後日、ハイキング中の男性が蜂に刺されて入院する事件が発生した。道が二股に分かれるところで、左に行けという指導標が出ていたというのだが、あとで調べてみると、指導標などなかったと言われてしまう。さらに、高速道路を走行中の車に、スズメバチが入った箱が投げ込まれる事件が発生し…
▼著者 サ行

【読書】真保裕一『ホワイトアウト』

雪に閉ざされた、日本最大の貯水量を誇る奥遠和ダムが、7人のテロリストによって占拠された。3ヶ月前、山の事故で婚約者を失った平川千晶と、作業員十数名が人質に取られた。犯人グループからの要求は50億円。発電所の運転員・富樫輝男は犯人グループの襲撃時、閉鎖となったスキー場の林間コースを上っていく2人組の様子を見に出ていたため、難を逃れた。富樫は1人、犯人グループに立ち向かう。