レビュー

└ 中山七里

【読書】中山七里『逃亡刑事』

千葉県警組織犯罪対策部の生田忠幸巡査部長が、廃業したカーディーラーの店舗で殺害された。捜査一課の高頭冴子警部は、組織犯罪対策部薬物銃器対策課の玄葉昭一郎課長が、押収した薬物を横流しし、口封じに生田を殺害したという結論に行き着く。しかし、証拠を集めている段階で、逆に玄葉らに証拠を捏造され、冤罪を着せられてしまう。高頭は、生田の殺害現場を目的してしまった少年・御堂猛と共に、大阪のA地区に身を隠す。
├ 小路幸也

【読書】小路幸也『妻と猫と暮らす 蘆野原偲郷』

和野和弥が自宅に帰ると、妻が猫になっていた!妻の優美子は大学教授から、あの娘は少し変わっているが、和弥ならうまくやっていけるのではないかと言われて結婚した相手。和弥は、蘆野原一族の長筋の生まれで、人に厄災をもたらす〈事(こと)〉を祓うことができる力を持っていた。
├ 濱嘉之

【読書】濱嘉之『聖域侵犯』

G7伊勢志摩サミットを控えた英虞湾で、男性の死体が発見された。死体はビニールシートにくるまれ、重りを付けて真珠の養殖筏の下に沈められていた。殺害されたのは、闇経済で生きるブラックジャーナリスト。パナマの法律事務所が作成した通称〈パナマ文書〉との関連も示唆されて…
├ ジェフリー・アーチャー

【読書】ジェフリー・アーチャー『運命の時計が回るとき ロンドン警視庁未解決殺人事件特別捜査班』

ロンドン警視庁のウィリアム・ウォーウィックは、捜査警部昇任後、妻のベスと共に豪華客船でつかの間の休暇を楽しむが、船内で大富豪が後継者争いの最中に急死してしまう。一方、ウィリアムの同僚らは5件の未解決事件の再捜査を開始。宿敵・マイルズ・フォークナーの生存を知ったウィリアムは、休暇を切り上げて捜査に合流する。
├ 下村敦史

【読書】[オススメ]下村敦史『告白の余白』

 京都の人がみんな腹黒いわけじゃないと言われるかも知れませんが、この作品の見所は、全編にわたって、堂々と伏線が張り巡らされているところにあります。伏線なのに伏せられていないなんて!まさか、あのやりとりも伏線の一部だったなんて…伏線が回収されるとき、驚嘆の嵐に見舞われる。開いた口が塞がらなくなった1冊。きっとあなたは、すでに騙されている。
├ 周木律

【読書】周木律『五覚堂の殺人』

宮司百合子は、同じゼミの志田悟の付き添いで、建築科の沼四郎が建てた五覚堂を訪れる。五覚堂では、悟の祖父・幾郎の遺言状が公開されることになっていた。遺言状では、財産の8割を長男に、残りの2割を次男と三男に遺すという文言とともに、遺言状の発効は公開30時間後、その間五覚堂から出ることも、外部と連絡を取ることも禁止するとされていた。しかし、五覚堂にある密室の小礼拝堂内で、長男の正胤と正胤の娘・万里が殺害されてしまう。
▼著者 ア行

【読書】岡嶋二人『そして扉が閉ざされた』

毛利雄一、成瀬正志、影山鮎美、波多野千鶴の4人は、3ヶ月前、三田咲子の別荘に招かれたが、仲違いから咲子が車で別荘を飛びだし、崖から転落死するという事故が発生した。咲子の母・雅代に呼び出された4人は、別荘の地下に作られた核シェルターに閉じ込められてしまう。そして、トイレの壁には、赤いペンキで「お前たちが殺した」と書かれていた。
▼著者 タ行

【読書】筒井康隆『ロートレック荘事件』

夏の終わり、木内文麿が所有する別荘に、若い男女が招かれた。別荘の名は〈ロートレック荘〉。別荘内には、画家ロートレックの作品が飾られている。しかし、その夜、二発の銃弾がこだまする。殺害されたのは牧野寛子。さらに、警察による事情聴取中にも、木内典子が殺害されてしまう。
├ 濱嘉之

【読書】濱嘉之『警視庁情報官 シークレット・オフィサー』

警察機関の弱点であった情報部門を強化するため、警視総監の肝いりで、情報室が立ち上げられた。その情報室の責任者の1人に抜擢されたのが、黒田純一。そして、情報室に怪文書が舞い込む。それは、政、官、財界や、世界的な宗教団体を巻き込む一大犯罪との対決の序章だった。
├ 赤川次郎

【読書】赤川次郎『死者の試写会へようこそ』

映画のスニークプレビューで放映されたのは、15年前に発生した殺人事件をモデルにした作品。1時間を過ぎたころ、「こんなこと――誰も知らないはずだ! どうしてだ!」と叫びながら、観客の1人が飛び出していった。
├ 才羽楽

【読書】才羽楽『君の思い出が消えたとしても』

駅前で道に迷っている老婦人を助けた遠藤達也は、丘の上で女性と出会う。彼女は、月尾夢奈という女性の身体を借りた〈思い出コーディネーター〉だと言う。夢奈曰く、達也は1ヶ月後の8月31日に死ぬことになっているが、良い思い出と引き換えに、寿命を延ばすことができるという。達也は夢奈とともに、良い思い出作りや、過去の後悔を晴らす行動を起こす。
├ 小路幸也

【読書】小路幸也『スタンド・バイ・ミー』

『あなたのおなまえなんてぇの』すずみが、古本屋〈東京バンドワゴン〉の中でも、相当古い比較的お高い本が並んだ棚の中の本の並び順が、入れ替えられていることに気づいた。翌日も、紺がご婦人が立ち去ったあとに棚を見ると、また本が並べ替えられていた。さらに、買い取った本を確認していると、裏表紙の内側に紙が貼られていて、それを剥がすと「ほったこん ひとごろし」と書かれていた。
└ 中山七里

【読書】中山七里『秋山善吉工務店』

秋山雅彦、太一の兄弟は自宅が全焼し、母・景子とともに焼け出された。1人2階で寝ていた父・史親は焼死。3人は、工務店を営む史親の実家の世話になることを決める。史親の父・善吉は、無愛想な態度にべらんめぇ口調、古色蒼然とした考えを持つ雷オヤジ。景子は善吉の家を出て、3人で新たな家庭を作ることを考えるが、なかなかうまくいかない。さらに、警視庁の刑事・宮藤が、景子に放火の疑いの目を向ける。
├ 大倉崇裕

【読書】大倉崇裕『夏雷』

探偵事務所を辞め、便利屋になった倉持に、槍ヶ岳に登れるようにして欲しいと依頼があった。依頼してきたのは50代前半とみられる山田。山田はなぜ山岳会やスポーツジムに入らず、倉持に依頼してきたのか?槍ヶ岳に登る理由を聞いても、山田は答えてくれない。また、倉持自身にも、長年山から目を背けてきた理由があった。
├ 濱嘉之

【読書】濱嘉之『警視庁公安部・青山望 頂上決戦』

特急列車の中で、女性がフグ毒によって殺害された。身元を調べると、女性は元岡広組のナンバー3・清水保の義妹。一緒にいた男性は元岡広組の構成員だった。ヤクザ同士の利権争い、中国マフィアの勢力争いなどに、青山ら同期カルテットが対峙する。
├ 小路幸也

【読書】小路幸也『花咲小路一丁目の刑事』

刑事になった赤坂淳は、祖父母が和食屋を営む花咲小路へ帰ってきた。非番の日になると、淳は祖母からご近所さんの悩み事を持ちかけられる。自宅で餌を食べなくなった猫の話や、亡くなった先代から届く手紙など…時に、ストリートミュージシャンのミケさんや、〈松宮電子堂〉の北斗くんらの力を借りながら、淳は小さな謎を解き明かしていく。
└ 米澤穂信

【読書】米澤穂信『犬はどこだ』

紺屋長一郎は、犬探し専門の調査事務所〈紺屋サーチ&レスキュー〉を開設するが、開設から2日で2件の依頼が入った。1件は失踪した佐久良桐子を探しだして欲しいという祖父からの依頼。もう1件は神社に伝わる古文書の解析依頼。探偵に憧れる高校の後輩・ハンペーこと半田平吉と手分けし、さっそく調査に当たるが、桐子は過去に神社の古文書を調べた経歴の持ち主だった。
└ 中山七里

【読書】中山七里『ワルツを踊ろう』

父が亡くなるのとほぼ同時に外資系の投資会社を辞めた溝端了衛は、故郷の依田村滝川地区へUターンしてきたが、閉鎖的な地区の住民らとの関係に悩んでいた。滝川地区で生産される無農薬野菜をブランド化し、インターネットで販売するというプロジェクトを提案する。しかし、不揃いな見た目の野菜は返品の嵐。その責任を了衛は押しつけられる。
├ 才羽楽

【読書】[オススメ]才羽楽『カササギの計略』

 僕が帰宅したとき、アパートの部屋の前に座っていた美女は、かつての約束を果たすためにやってきたというが、僕は彼女の顔に見覚えがない。突然とんでくる平手打ち…しかも、彼女は難病に冒され、余命がわずかだという。最後に涙腺崩壊!と思いきや、新たに生まれる謎。そこに、この作品がミステリであることを思い出させてくれます。第15回『このミステリーがすごい! 』大賞の隠し玉!
├ 赤川次郎

【読書】赤川次郎『教室の正義』

中学校の全生徒に配られた教材『心のノート』。その中には、「この学級には正義はあるか!」と書かれていた。『心のノート』が使用されているかどうかを視察に来た教育委員会の先生に対し、植田辰夫は、番長的な存在である南田康久が、テストでカンニングをしていたことを告発する。植田の勇気に触発された生徒らによって、「道徳委員」が設置され、委員長には植田が就くが…
├ 周木律

【読書】周木律『双孔堂の殺人』

Y湖畔にそびえる〈ダブル・トーラス〉という名の、大きな鍵の形をした建物。ここに、数学者らが集まった。しかし、建物の主・降脇一郎が書斎で、鰐山豊が客室でそれぞれ殺害されてしまう。双方の部屋は密室になっており、書斎の中には、凶器の銃を持った十和田只人が倒れていた。妹に頼まれ、十和田のサインをもらうために〈ダブル・トーラス〉を訪ねた警察庁の宮司は、偶然事件に巻き込まれることになるが…
├ 濱嘉之

【読書】濱嘉之『警視庁公安部・青山望 巨悪利権』

大分県湯布院で、九州ヤクザの大物が殺害された。殺害方法は、トリカブトの毒を塗った吹き矢を用いるという珍しいもの。ヤクザたちが動き出すと読んだ警視庁は、九州に人員を送り込む。やがて、警視庁とヤクザらの全面戦争へと発展する。
├ 小路幸也

【読書】小路幸也『花咲小路四丁目の聖人』

時代の波には逆らえず、空き店舗が増えて寂れる一方の花咲小路商店街。ここに店を構える、中華料理屋、薬局、書店の主人や妻たちに、浮気やホストクラブ通いの噂が出る。時を同じくして、香港の大手スーパーチェーン〈マッシュグループ〉による商店街の買収計画が持ち上がる。商店街に土地を持ち、塾を経営する矢車家の矢車聖人、帰化する前の名前ドネィタス・ウィリアム・スティヴンソンは、かつて〈最後の泥棒紳士”セイント”〉と呼ばれた人物。花咲小路商店街の危機に、聖人が立ち上がる。
├ 石川智健

【読書】石川智健『もみ消しはスピーディーに』

警察組織を監視する立場にある監察官が不祥事を起こしたことをきっかけに、警察を外から監視する役割として、リスクヘッジ社がK庁と契約を結んだ。しかし、K庁とリスクヘッジ社の契約の中には、警察官による大きな不祥事をもみ消すという案件が含まれていた。警察官の不祥事を発覚前にもみ消していくリスクヘッジ社と、リスクヘッジ社に疑いの目を向ける監察官の和久井。警察の不祥事を巡って対立する2者の行く末は…