「あ、指が滑って押しちゃった」
バイト先のおばさん・加藤さんのスマホから呼び出し音が流れ出した。
電話をかけた先は沖縄のホテル〈ジューシー〉。
バイト先の弁当屋の店長が入院するために一時閉店することになり、大学の春休みの間のアルバイト先を探している時のことだった。
加藤さんは「迷ってるなら、行っちゃえば」と言うのだが…
坂木司さんの『楽園ジューシー』を読みました。
あらすじ
5ヶ国のミックスである松田英太のあだ名は”ザンパ”。”残念な天然パーマ”の略だ。
色白で太っていたこともあり、子供のときはイジメを受けていたが、中学2年生の秋に”ザック”と呼んでくれる友達ができた。
大学生の春休み、英太はバイト先のおばさんが見つけた沖縄のホテル〈ジューシー〉で短期のバイトをすることになる。
感想
『ホテルジューシー』の続編。『ホテルジューシー』の姉妹作である『シンデレラ・ティース』から見れば姪作(?)になるでしょうか。
続編と言っても、主人公は柿生浩美から松田英太に変わっています。
でも、昼行灯なオーナー代理や食事担当の比嘉さん、清掃係のクメばあとセンばあは健在です。
5ヶ国のミックスであるザッくんこと松田英太は、その見た目とのギャップに悩んでいた様子。
そんなザッくんの背中を押してくれたのが、バイト先のおばさん・加藤さん。
沖縄にはいろんな人種の人がいるから、見た目を気にする必要はないんじゃない?って…
私はどこから見ても日本人ですが(1度、北京空港の出国ゲートで、中国人は専用ゲートにならべって空港職員に言われたことがありますが…)、どことなくザッくんに似たものを感じて…
自分に自信がなかったり、不安から余計な行動に出たり、気をつかいすぎたり…
最後は自分の悪いところを続けざまに指摘されるような”苦行”のような時間を過ごすことになるのですが、逆に考えると、大学生の間にそういった部分を指摘してもらえるのって、良いことですよね。
社会に出てしまうと、そういったことを指摘してくれる人ってなかなかいません。
そういう人なんだなって思われて終わり…
それにしても、ザッくんのバイト先がステキ。
バイトは白飯食べ放題なんだそうな。
米の値段が高騰している現在でも、そんなサービスが続けられているのかな?




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