【読書】呉勝浩『アトミック・ブレイバー』

呉勝浩 ├ 呉勝浩

小型核爆弾による世界同時多発テロ『ヴァージン・スーサイズ』から27年。人類は温暖化と電力不足にあえいでいた。
平凡なサラリーマンの堤下与太郎は、友人の天才プログラマー・西丸昴によって、世界で唯一格闘ゲーム〈アトミック・ブレイバー5〉の改造版をプレイできるようにされていた。
人類の将来を左右するゲームの行方は…

呉勝浩さんの『アトミック・ブレイバー』を読みました。

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あらすじ

平凡なサラリーマン・堤下与太郎は、愛用している国家推奨の睡眠補助アプリ〈ORANGE〉を、友人で天才プログラマーの西丸昴によって、ハッキングされた。
これによって、世界で多々ひとりだけ、西丸が作成した暗号を読み取ることができるようになる。
暗号化された格闘ゲーム〈アトミック・ブレイバー5〉の改造版をプレイできるようになった堤下は、国家機関と反社会的組織の争いに巻き込まれた上、人類の将来を左右するゲームに挑むことになる。

感想

『爆弾』『法廷占拠 爆弾2』『スワン』に続き、私にとって4作目の呉勝浩作品です。

なんとなく、呉勝浩さんの作品の傾向がわかった気でいましたが、この作品はまたひと味違っていて…
ただ、テロだとか、無差別殺人、そしてその被害者家族を書いておられるという点は、これまで読んだ4冊の共通点でしょうか。

今回の作品は…
よくわからないというのが正直な感想かな。
ゲームをクリアすることが、人類の将来にとって正しいことなのか、そうでないのか…
それがよくわからないまま物語が進んでいくのですが、世の中、そんなものかも知れませんね。
堤下のように、人類の将来を左右する場面というのは滅多にやって来るものではありませんが、日頃の生活の中での判断のひとつひとつが、どちらが正しかったのかわからないものだと思います。
一見、悪手に見える方を選んだ方が、のちのち良い方向に進むということもあるかも知れません。

一方、それに対する存在として描かれているのが、格闘ゲームの勝敗。
これに関しては、勝ちか負けしかなく、結果がはっきりとしています。

その対比が際立っているなぁと思いながら読んでいました。

国家機関である平和安全庁と、反社会的組織であるウリヨラ教、さらに神国立命會が、正義なのか悪なのか。〈アトミック・ブレイバー5〉をクリアするべきなのか否かなど、”よくわからないこと”ばかりで、眉間にしわを寄せながら読んでいたのですが、読み終わって振り返ってみると、呉勝浩さんが言いたかったことが、なんとなくわかったような気がしました。

コメント

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