【読書】辻村深月『琥珀の夏』

辻村深月 ├ 辻村深月

ミライは子供の頭の中だけにあるんです――。
子供たちが親元から離れて共同生活をおこなう〈ミライの学校〉。その跡地から少女の白骨化死体が発見された。
見つかったのが自分の孫ではないか確認して欲しいという依頼を受けた弁護士の近藤法子は、かつて〈ミライの学校〉で1週間を過ごす夏の合宿に参加していた。

辻村深月さんの『琥珀の夏』を読みました。

広告
広告
広告
500万冊以上の電子書籍が読み放題『Kindle Unlimited』への登録はこちらから

あらすじ

山の上にある〈ミライの学校〉。そこは、将来を担う子供たちを育てるための施設だった。
夏休みを利用して、そこでおこなわれる1週間の合宿に小学生の時に参加した近藤法子は、ミカという友達を作った。
それから30年後、〈ミライの学校〉跡地から少女の白骨化死体が発見される。
弁護士になった法子には、見つかった少女が自分の孫ではないかと、調査依頼が入る。

感想

未来は子供たちの頭の中にあるだとか、大人たちの考えを押し付けるのではなく自分たちで考えさせるといった設立時の理念は間違っていないのでは?と感じました。
ただ、組織が大きくなっていく過程で、泉やそこで採れる水を神聖化したり、資金面の流れがグレーになっていってしまって、おかしくなってしまっていったのかな?と…

死体遺棄についても、組織を守ることや、子供を守ることを優先してしまったからなのかな。

それは、1週間の合宿に参加した小学生の法子も感じたようです。
〈ミライの学校〉の良いところだけを凝縮させたような合宿だったようですが、単純に面白いと思えないほど歪みが出てしまっていたんでしょうね。

その歪みが最も強く表れてしまったのが30年後だったわけですが、30年前に小学生だった法子やミカたち1人1人が未来の片隅を担っていたんだなと感じさせられるエンディングになっていました。

物語は、30年という期間を絶妙な塩梅で行ったり来たりしながら進んでいきます。
その過程で、友情だとか事件の真相だとかが少しずつ明らかになっていくような作り。
待機児童の問題を取り入れたのは、この作品がもともと新聞連載だったためでしょうか…
そのあたりも絶妙です。

一歩間違えれば、「オカルト宗教の暴走」で終わってしまうところを、ギリギリのところで回避し、未来に向けたメッセージを盛り込んだところが良かったです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました