恩田陸さんの『蜜蜂と遠雷』を読みました。
あらすじ
3年に1度開かれる芳々江国際ピアノコンクール。
世界5ヶ所で行われたオーディションを突破した90人の中から、本戦に進めるのはわずか6人。
養蜂家の父親について各地を転々とし、家にピアノを持たない風間塵。
かつて母の死をきっかけに表舞台から去ってしまった栄伝亜夜。
亜夜に誘われてピアノをはじめたマサル・カルロス・レヴィ・アナトールらが、互いにリスペクトしあいながらコンクールに挑む。
感想
2017年、第156回直木三十五賞を受賞した作品です。
直木賞の発表後、購入しようかなぁと書店で手に取るところまでいったのですが、結局そのままになってしまっていた作品です。
今回手に取ったのは、中山七里さんの「岬洋介シリーズ」の既刊をすべて読んでしまったから。
ピアノの演奏シーンに定評があるこの作品を読んでみたいなぁと。
そのピアノの演奏シーンですが、個人的には中山七里さんの方が好きかなと。
ただ、それは好みの問題であって、どちらが正解といった話ではないと思います。
恩田陸さんは風景を描き、中山七里さんは人の動きを描いているって感じでしょうか。
目に見えないものをどう表現するか。間違いはあるかも知れませんが、これが正解というものはないように思います。
1つ不満だったのは、巻頭にメインで追いかけていく4人の選曲リストを載せたこと。
このリストを見て、物語の序盤を読んでしまうと、この4人の中から優勝者が出るであろうことがわかってしまいます。
安定感はあるものの、ダークホースの登場によって、引っ掻き回されるといった展開が想像できなくなってしまう。
別に意外性を期待させる作品ではないので、安定感優先でも悪くはないのですが…
最後に発表された順位は、読んでいて感じていたものと若干違っていました。
将来を見越したストーリーを考えると、妥当かなぁとも思うのですが、作品を読んでいて感じたことと違和感があって、ちょっともやもや。
はじめは、ストーリーに集中できないなぁと思いながら読んでいたのですが、第1次予選の途中から物語に入り込んでいくことができました。
事前に思っていたのとは少し違った印象を受けましたが、楽しみながら読むことができました。
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