【読書】大倉崇裕『凍雨』

大倉崇裕 ├ 大倉崇裕

大倉崇裕さんの『凍雨(とうう)』を読みました。

あらすじ

夫の慰霊登山のため、10歳の娘・佳子とともに嶺雲岳を訪れた植村真弓。
しかし、真弓たちのあとから、嶺雲岳の小屋を目指すヤクザ者たちの集団が。
さらに、そのヤクザものたちを追って、中国マフィアの軍団が押し寄せる。
真弓の夫の友人・深江信二郎は、登山口で真弓たちの姿を見て引き返すが、何者かに襲撃されてしまう。

感想

『聖域』『生還』『白虹』に次いで、大倉崇裕さんの山岳ミステリ4作目と思って手に取ったのですが、読んでみると、ミステリではなくアクション。
映画で例えるならば、『ランボー』でしょうか。

はじめのうちは、誰が何を目的にしているのかがわからず、少し読みづらさを感じていたのですが、だんだんと目的や正体が明らかに。
この、相手の正体や目的がわからないまま話が進んでいくという展開が、”ランボー”である深江の心理状況を表しているのでしょうか。

最後は、『ランボー』であれば、シルヴェスター・スタローンが傷だらけになりながらも、目的を達成するところなのでしょうが、今回限りの(と思われる)主人公である深江や、死んでしまってもファンから恨まれないキャスティングであることを考えると、違った結末もあり得るのかなぁと、”裏”の展開も想像できたり…

大倉崇裕さんが愛する山の厳しさが、命の奪い合いという争いの厳しさに通じているのかなぁと。
アクションとはいえ、やはり山への愛情が感じられる1冊になっていました。

『ランボー』や『ダイ・ハード』、『コマンドー』などが好きな方なら、ハマる1冊だと思います。

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