辻村深月さんの『この夏の星を見る』を読みました。
あらすじ
ひばり森中学校の新入生27人のうち、男子生徒はたったの1人。
その安藤真宙が入部した理科部顧問の森村先生が調べていた、コロナ禍でもできそうな活動の中で、砂浦第三高校天文部が主催していた〈スターキャッチコンテスト〉に興味を引かれる。
参加校を募って天体望遠鏡を自作し、目当ての星を望遠鏡で捉える腕前を競うコンテストだというが、それをオンラインで複数の場所を繋いでできないかと、話が進んでいく。
参加したのは4チーム。茨城から長崎までの生徒たちが、夏の星空のもとに繋がる。
感想
あらすじを読んで、絶対に読みたい!と思って飛びつきました。
2020年からの3年間を、コロナ禍による「失われた3年」なんて言われたりします。
社会人にとっては、繰り返しの1年がぽかっと3年空いてしまっただけで、そんな言葉で片づけられるかも知れませんが、特に学生たちにとっては、大切な1年1年、いや、1日1日なわけです。
私には、中学生と小学生の子供がいますが(2020年時点では2人とも小学生)、いろんなことを我慢させられて、友達の顔もマスク越しでしか見ることができず、よく頑張っているなと思わされます。
コロナ禍で失ったものと得たもの、コロナ禍だからできなかったこととできるようになったこと。
そんなコロナ禍を生きるためのアイデアが詰め込まれているような気がします。
逆境は力にもなる。でも、周りの大人たちがそっと進む方向を示してあげなければならないのかなぁなんてことも考えさせられました。
そして、自分は子供たちに対して何をしてやれたかな?とも。
作品の中に、「私の今は、今しかない」という言葉が出てきますが、特に子供たちに当てはまる言葉なような気がします。
最終的に、大きな感動を呼ぶ話に持ち込んだりせず、「1歩踏み出してみるだけで、世界は変わるんだよ」と言われているような気がしました。
この夏、1番の読書になったかも知れません。
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