【読書】小路幸也『すべての神様の十月(三)』

小路幸也 すべての神様の十月シリーズ ├ 小路幸也

八百万の神が住む日本。
人と人を結びつける縁結びの神、人を招き寄せる福の神、悪いこととそれに見合った良いことを招き寄せる疫病神…
ここでは、時として神と人間の交流が起きることがある。

小路幸也さんの『すべての神様の十月(三)』を読みました。

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あらすじ

結ばれたものは

マンガ部の編集者・岡橋に文芸部の吉岡が紹介したのは、才能はあるけど売れない小説家の酒井美海の作品だった。
彼女の作品を原作としたマンガを、画力は抜群だけど物語が作れない漫画家・大野原顕に書かせようというのだ。
さっそくレストランで2人の顔合わせをするが…

感想

多神教の日本には、八百万の神がいると言います。
福の神に疫病神、風神、雷神、竜神、韋駄天…
神さまの種類も様々であれば、性格も様々?
小路幸也さんの手にかかると、本当にこんな神様たちが、時に人間と交流を深めながら住んでいるような気が気がしてきました。

そんな短編集も、最後に「僕たちは人間がいないと何もできないし、この世に存在さえしなくなるものだから」というひと言にはハッとさせられました。
人間がいて、神様たちを信じ、頼るからこそ存在するのであって、必要がなくなってしまうとその存在価値を失ってしまう…
なかなか深い言葉だなぁと思いながら読ませていただきました。

収録作品

『結ばれたものは』のほか、『コンビニで恩返し』、『間に合わせます』、『運が良くても悪くても』、『当たり過ぎる』、『気象予報士は雨女』、『方向音痴は治りません』、『座敷童は大人になるのか』、『死神よ来い』、『地味すぎる』が収められています。

コンビニで恩返し

父の死去に伴い実家に戻り、兄と共にコンビニの経営を手伝うことになった康一が店の前に作ったベンチで、朝や夕方にご飯を食べながら時間をつぶす少女がいた。

間に合わせます

記憶力の良い神原だが、父が危篤になって病院へ駆けつける際に乗ったタクシーの運転手の名前は覚えているものの、どの道を通って病院へ行ったのかまるで記憶に残っていなかった。

運が良くても悪くても

木沢は店の客である潤子と付き合いだした途端、悪いことばかりが続くようになった。

当たり過ぎる

私立高校に通う小井戸は、近所に住み、書道教室を開いたりボランティアをしている上成の手伝いを申し出る。

気象予報士は雨女

気象予報士の土井は強力な雨女。
子供の頃から運動会や遠足など、屋外での大きなイベントでは必ずといって良いほど雨に見舞われていた。

方向音痴は治りません

凌兵の母はとんでもない方向音痴。
歩いて20分くらいのパート先から帰るときも、ほぼ毎回道に迷ってしまう。

座敷童は大人になるのか

山梨県の山の奥にある柿崎の実家の玄関の庇に木が倒れてきて、父が大ケガを負った。
柿崎の父は病院へ運ばれたが、一緒に住んでいるはずのお手伝いさんの姿が消えていた。

死神よ来い

夏川麻美は女子高生の時に死神が見えるようになった。
麻美は医者になって、患者の命を救うことを死神に誓う。

地味すぎる

萌絵は霊感が強い女子高生。
大雨で冠水してしまった畑を観に来た業者を見かけたが、2人は他の人に見えないはずの神様だった。

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