発明家のエジソンさんが殺害され、その傍らには恋人で詩人の小町さんが手首を切って倒れていた。
小町がエジソンさんを殺害後、自殺を図ったものと思われたが、芸術村の村長は、成功を掴みかけている小町を守るため、CGアーティストの写楽さんを犯人に仕立て上げようとする。
石持浅海さんの『「真」犯人』を読みました。
あらすじ
廃校を改装した芸術村には、9人の芸術家の卵と4人のスタッフ、1人の居候が暮らしていた。
ある日、発明家のエジソンが部屋で首を刺されて殺害されてしまう。
その傍らには、エジソンの恋人で詩人の小町が手首を切って倒れていた。
芸術村で初めて成功を掴もうとしていた小町を守るため、村長はCGアーティストの写楽を犯人にしたストーリーを創りあげるよう、丁稚兼チェーホフのわたしに指示を出す。
感想
紹介文を読んだときには、石持浅海さんはこんなユーモアに富んだ作品も書くんだと思ったのですが、実際に読んでみると、お互いをあだ名で呼び合っているだけで、中身はしっかり石持ワールドでした。
このあだ名で呼び合うというところがよくできていて、作曲家のバッハ、洋画家のゴヤ、建築家のライトなど、本名で呼び合うよりもわかりやすくなっています。
章と章の間に転換点が設けられているのですが、それに加え、中盤を過ぎ、終盤に差し掛かってからの展開がスピーディかつ驚愕の連続でした。
息のつく間もないとは、こういうことを言うんだと思います。
最後の推理の場面は、ちょっと落ち着いて読むことができるような、安定した謎解き。
ジグソーパズルのピースがスパスパとあるべき位置にはまっていくような心地良さでした。
紹介文を読むと、ちょっと色物?と思えてしまうのですが、しっかりとしたミステリに仕上がっています。
機会がありましたらぜひ!




コメント