【読書】島本理生『星のように離れて雨のように散った』

島本理生 ├ 島本理生

「あなたが、私を愛してるって、どういうこと?」
修士論文に取り組む大学院生・原春は、3歳年上の彼から「一緒に暮らしたい」、「うちの親に会ってほしい」、「俺は春のことを愛してる」と言われ、思わず訊き返した。
彼のことは好き。でも、結婚というのは実感がわかない。
周囲の人と向き合いながら、自分自身とも向き合っていく大学院2回生の夏。

島本理生さんの『星のように離れて雨のように散った』を読みました。

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あらすじ

コロナ禍の2020年、同じゼミの学生とも顔を合わせることが減り、教授との面談もオンラインに変更。
そんな誰も経験したことがない状況の中、修士論文を進める原春。
1年前から付き合っている3歳年上の彼・亜紀からは結婚を嘱望されているが、まだ院生の春には実感がわかない。
春は幼いとき父に新興宗教のキャンプに連れて行かれた経験や、その父が失踪したという複雑な家庭状況を抱えていて…

感想

普段はミステリを中心に読んでいる私ですが、時々こういった本も読みます。
ミステリのあとに読みはじめても、ギヤチェンジをする必要はないので、こういった話も好きなのかな。
自然と話の中に入っていけます。

春が自分と向き合っていく話であり、同じゼミ生の篠田君や売野さんの力を借りて成長していく物語ですが、十分にしっかりした大人だと思います。
もちろん、大人になりきれていない部分はありますが、それは誰だってそうでしょう。
“中年”に分類される私だって、まだまだ子供な部分がたくさんあります。
ましてや、私が院生の時なんて…
春が院生なら私は中学生なくらい子供でしたよ。

今となっては、大学生、院生の時にあれをしておけば良かった、これをしておけば良かったと思いますが、院生の春はコロナ禍の1年目。あれもできない、これもできないっていう時だったんですよね。
できたけどしなかったというのと、したくてもできなかったというのは大きな違いです。

結婚に関しては、私の場合、院生の時点ですでに妻と結婚することを決めていたかな。
そこにあまり葛藤はありませんでした。そこが春とは違うところですが、今となってはえらく簡単に決めてしまったなと思うことがあります。ぜんぜん後悔はしていませんけどね。

あと、友人たちと一緒にいると楽しかったけど、友人らが帰って1人になるとほっとするという気持ちも良く分かるなぁって思いました。
私だけじゃなかったんだって…
私は、自分を動物に例えるなら猫だと思っていて、そばにいたいって思ったときに友人や家族がいてくれないと嫌だけど、普段はマイペースで行動したいっていう性格なんですよね。

ミステリみたいに、結末に向かっていく感じが薄くて、どこかふわふわとした話の終わり方も心地よいなって思います。

大学院生のリアルな胸の中をじっくりと見させていただきました。

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