「お願いだから今回は見送って、もっといろんなことがきちんとしてから子供を作ろう」
そう言って将来の約束をして堕胎を迫った不倫相手は、その数ヶ月後に妻との間に子供を授かった。
留守中、不倫相手の夫婦の間に生まれた赤ん坊を見に行った希和子は、泣き止んだ赤ん坊が自分に向かって笑ったのを見て、衝動的に連れ出してしまう。
希和子は、身分を偽り、過去を偽りながら逃避行を続けるが…
角田光代さんの『八日目の蝉』を読みました。
あらすじ
大手アパレルメーカーで働いていた野々宮希和子は、支社から本社に転勤してきた秋山丈博と恋に落ちるが、秋山はすでに結婚していた。
妻との離婚と、希和子との再婚をちらつかせながら交際を続けた秋山だったが、希和子が妊娠すると、堕胎するように迫る。
そして、希和子が堕胎した数ヶ月後、秋山夫妻は新しい命を授かった。
秋山を妻が最寄りの駅まで車で送っていく間、施錠しない習慣があることを知った希和子は、秋山家に忍び込み、衝動的に赤ん坊を連れ出してしまう。
感想
予備知識なしで読ませてもらいました。
確か映画化されたよな、くらいの知識だけ。
2章の途中からは、他の人はこの作品を読んで何を思うんだろう?ってことを考えながら読んでいました。
希和子になんとしても逃げ延びて!って思うくらいの感情移入をするわけでもないし、薫こと恵理菜に対して保護者になったつもりで意見してやろうと思うわけでもなく…
坦々と”読まされている感”を感じながら読んでいましたが、最後になってようやくいろんなことが見えてきたかな?
私個人として、最終的に行き着いたのは、八日目の蝉が見たものは、緑がきれいなところだったんだなってことでした。
母性をテーマにした作品で、いろいろな母親像が出てきますが、理想的な家庭というものは、ありそうでないんだろうなって思います。
私から見て理想的な家庭は、もっと高い理想を見ているだろうし、不満が1つもないというのは、人間的にどうかとも思いますし…
そういう私の家庭もめちゃくちゃですね。
単身赴任を想像してもらえばわかると思いますが、父である私が普段家にいない。
まぁ、私は単身ではなく、実家に間借りしているのでちょっと特殊ですが。
で、妻の仕事と子供たちの学校の関係で、3人は名古屋に…
もう、直したいところだらけです。
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