6/12、文藝春秋より、島本理生さんの『一撃のお姫さま』が発売されました。
アニメの主題歌を創るために、夜な夜な好きでもないホストに通うアーティスト。
庭に張ったテントに家出した義母、美人で妖艶な娘をイメージし「魔美」と名付けられた女性…
5つのちょっと不思議な恋愛模様。
概要
他人からはままならない恋愛に思えても、本人たちは案外、その”雑味”を楽しんでいるのかもしれないーー。
*5つのちょっと不思議な、新たなる読書体験
「停止する春」
東日本大震災から11年目。会社で毎年行われていた黙とうがなくなった。
それから私は、仕事を休むことにした。代わりに、毎日時間をかけて大根餅を作る。ある日、八角の香る味玉を作り置きした私は、着ていたパジャマの袖口を輪にして戸棚に結び、首を突っ込んだ……。「最悪よりは平凡」
掃除機をかければインコをうっかり吸い込み窒息死させ、夫が書斎を欲しがれば娘を家から追い出す母に、「妖艶な美しい娘」をイメージして「魔美」と名づけられた私。顔見知りの配達員にはキスされそうになり、年下のバーテンダーには手を握られ、不幸とまでは言い切れないさまざまな嫌気を持て余す。「家出の庭」
ある日、義母が家出した。西日に照らされた庭に。青いテントの中で義母はオイルサーディンの缶を開け、赤ワインを飲んで眠る。家出3日目、私はお腹に宿した子が女の子だと知る。「God breath you」
女子大でキリスト教を中心に近現代の文学を教える私はある日、ほろ酔いでおでんバーから出たところを若い青年に声をかけられる。彼は、世を騒がせた宗教施設で幹部候補として育てられた宗教二世だった。「一撃のお姫さま」
歌舞伎町が舞台のアニメ主題歌の仕事を受けたアーティストの睡は、音ゲーの配信者兼会社員の友人から、曲作りのためホストに通うことを提案される。100万円を使い切ることを決めた彼女は夜な夜なチープな照明に照らされ、シャンパンコールを浴びることになるがーー。
ひとこと
どの話もなんだか面白そう。
特に、「掃除機をかければインコをうっかり吸い込み窒息死させ」というところに目を引かれてしまいました。
放鳥中の事故に注意ってことはよく聞きますが、掃除機で吸ってしまったという話ははじめて聞きました。
「魔美」という名前もすごい。
これで魔性の女にならなかったらどうするんでしょうね。
名付けというのは難しいものです。
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