【新刊】新川帆立『目には目を』

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1/31、KADOKAWAより、新川帆立さんの『目には目を』が発売されました。

少年院で出会った6人は、それぞれ更生して社会に戻ったが、”少年B”の密告により”少年A”の居場所が判明する。
“少年A”に娘を殺された遺族は、”少年A”を殺害してしまう。
“少年A”と”少年B”はいったい誰なのか?

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概要

なぜ少年Aは殺されたのか?

【罪を犯した「本当は良い子」の少年たち。奪われた命が、彼らの真実を浮かび上がらせる。】

重大な罪を犯して少年院で出会った六人。彼らは更生して社会に戻り、二度と会うことはないはずだった。だが、少年Bが密告をしたことで、娘を殺された遺族が少年Aの居場所を見つけ、殺害に至る――。人懐っこくて少年院での日々を「楽しかった」と語る元少年、幼馴染に「根は優しい」と言われる大男、高IQゆえに生きづらいと語るシステムエンジニア、猟奇殺人犯として日常をアップする動画配信者、高級車を乗り回す元オオカミ少年、少年院で一度も言葉を発しなかった青年。かつての少年六人のうち、誰が被害者で、誰が密告者なのか?

ひとこと

日本の少年法は、犯罪者の更生を目的としており、基本的に実名報道はされませんし、家庭裁判所の許可がおりれば名前を変更することも可能となっています。
少年院の中でも、名前で呼ばれることはないはずなので、”少年B”が”少年A”の居所をどうやって知ったのかは作品を読んでみないとわかりませんが、少年法が目指す方向とはまったく違うことが起きてしまったようです。

重大犯罪を犯した人間が、すぐ近くにいてもわからないというのは、怖い気もしますが、咄嗟に手が出るような性格の人間なのか、それともやむにやまれぬ事情があったのか、また、本当に更生したのかどうかによっては、新しく人生をやり直すチャンスを与えるという少年法の意図を理解できなくもありません。

重大犯罪を犯して少年に入ったあと、大きく人生を変えた人間としては、中山七里さんの「御子柴礼司シリーズ」に出てくる、弁護士の御子柴礼司が思い浮かびます。
女児を殺害し、死体をバラバラにしたあと、学校やポストの上などに死体を置いて廻った”死体配達人”。
少年院の中で弁護士になることを決め、出所後司法試験に合格。弁護料は途方もない額ですが、必ず有利な判決に導くという敏腕弁護士。
御子柴にしても、犯罪を犯したのは弁護士になる前なので、事件を理由に罷免されることはないんですよね。

弁護士でもある新川帆立さんが、どのようなストーリーを作りあげているのか、気になる1冊です。

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