「俺、もしかして過去に戻された?」
藤見高校に通う依田いつかが違和感を感じたのは、撤去されたはずの看板が、ショッピングセンターの屋上から見えたためだった。
どうやら3ヶ月ほど過去に戻されたらしい。
その間、藤見高校から自殺者が出ることになるのだが、その生徒の名前が思い出せない。
いつかは、同じ中学校出身で、自由研究でタイムトラベルについて纏めた坂崎あすなに相談を持ちかける。
辻村深月さんの『名前探しの放課後』を読みました。
あらすじ
高校1年生の依田いつかは、ショッピングセンターの屋上から、撤去された看板が存在することに違和感を感じる。
いつかの記憶では1月のはずなのに、今は10月。
どうやらタイムスリップしてしまったようだ。
しかも、いつかの記憶によると、2学期の終業式の日、同級生の誰かが自殺する。
いつかは同級生の坂崎あすかに相談を持ちかけ、その誰かを探しはじめる。
感想
まず1点クレーム!
主人公の名前がいつかというのが、とても読みにくい!(笑)
上のあらすじを何度か読み直した人もおられるのではないでしょうか。
あすかに対応させてのことなのでしょうが、だんだんと慣れてくるとはいえ、読みづらかったです。
この1点を除くと、非常に面白い作品だったんですけどね。
上下巻に分かれているくらいのヴォリュームがあるのですが、ぐいぐいと読み進めてしまいました。
途中までのストーリーは、宗田理さんの「ぼくらシリーズ」のような感じ。
悪く言えばお友達ごっこ。中高生が思いつきそうな作戦を遂行していっているといった感じで、大人向けとしては少々幼いかなぁと思っていたのですが、それが前段になっていて、驚愕の結末になだれ込んでいきます。
いやぁ、完全に騙されました。
最初は何が書かれているのかわからなかったくらい…
語り口は、ピアノをやわらかいタッチで弾いているようで、とても心地が良いです。
高校生ならではの青春模様が見られたり、さすが辻村深月さんだなぁと思いながら読ませていただきました。
読書中の心地良さと、最後に用意された展開は、きっと読んだことを後悔させないと思いますよ。
機会があれば是非。
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