景織子はなぜ自分から車に乗り込んだのか?
笠井は恋人の景織子から、高校生時代に監禁された経験があると打ち明けられる。
ある日、景織子を監禁した高橋が景織子の弟に暴行を働き、景織子を車に乗せて連れ去ってしまう。
しかし、景織子は自ら進んで車に乗り込んだように見えた…
笠井は2人を追って、日本最南端の島・波照間島へ向かう。
島本理生さんの『匿名者のためのスピカ』を読みました。
あらすじ
館林景織子は、高校生の時に恋人・高橋に監禁された経験を持つ。
法科大学院に入学した景織子は、同級生の笠井修吾と付き合うことになるが、高橋らしき人物から執拗なメールが届くと怯える。
ついにある日、高橋は景織子の弟に暴行を働き、景織子を連れ去ってしまう。
しかし、景織子は笠井の目の前で、自ら高橋の車に乗り込んだように見えた。
感想
景織子と高橋を繋ぐものは何なのか?
恐怖?諦め?それとも好意?
よくストックホルム症候群なんてことを言われますが、時として犯罪加害者と被害者の間には奇妙な関係ができあがってしまうことがあります。
恋人の笠井の前で、元カレで監禁された過去のある高橋の車に自ら乗り込んだ景織子。
誰1人として救われないこの関係は、若者たちに深い傷跡を残したのではないかなぁと…
法科大学院の院生たちの物語ということもあって、所々に1段深く掘り下げた、かつ、頭が痛くならない程度の法律の話が混じっていたのが印象的でした。
裁判官、検察官、弁護士…
彼らの将来の進路に、この事件はどう影響したのかな?と思いながら読ませていただきました。
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