人はなぜ人を傷つけてしまうのだろう?
そして、自分までもを傷つけてしまうのはなぜだろう?
近藤史恵さんの『Shelter(シェルター)』を読みました。
あらすじ
大阪の雑居ビルの屋上に建てられた小さなプレハブ、〈合田接骨院〉の受付として働く江藤姉妹。
その姉の恵が、中国へ行くと言って休暇を取ったが、妹の歩が恵の部屋に保険証を取りに行ったところ、パスポートが残されているのを発見した。
恵が向かった先は東京。そこで出会った少女から、恵は「帰るところがもうないの」と言われる。
感想
「整体師〈合田力〉シリーズ」の第3作です。
大阪にはもう帰らないと思って上京した恵を探す歩と、歩の恋人で雑誌記者の小松崎雄大。
そして、仕事で女優の出水梨央を探している小松崎と、そんなことは知らずに梨央と行動を共にしている恵。
典型的なすれ違いというやつですね。
物語は、小松崎と恵の視点で交互に語られていくのですが、交わりそうで交わらない。
いや、交わるときはどういうシチュエーションなのだろうと、興味が尽きません。
今回は、これまで触れられなかった恵、歩姉妹の過去についても言及。
恵のセックス依存症や、歩の摂食障害の原因が明らかになります。
ついで(?)に、合田力がなぜあんなところで接骨院を開いているのかや、意外な弱点まで…
もっと続きを読みたいシリーズですが、集大成的な作品にもなっていて、ここで幕を閉じる決断もありなのかも、と思ったり…
ただ1つ言えることは、もし続編が出れば絶対に読む!ってことですかね。
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