近藤史恵さんの『タルト・タタンの夢』を読みました。
あらすじ
4人で切り盛りする小さなビストロ〈パ・マル〉。
ここの常連客・西田が体調を崩した。
2日前、婚約者が作ってくれたフランス料理を食べ過ぎてしまったという。
感想
フランス料理にまつわる小さな謎が、ポンポンと小気味良いテンポで飛び出してくる1冊。
それにしても、近藤史恵さんの博識っぷりには毎回感嘆させられます。
人が表に出さない感情を引き出してくるのも、近藤史恵さんの得意とするところでしょうか。
三舟シェフの心の奥を読み解く力にはただただ驚かされます。
ついでに、要所要所で出てくるホット・ワイン「ヴァン・ショー」も飲んでみたいな♪
続編もあるようなので、ぜひ手に取ってみようと思います。
表題作のほか、『ロニョン・ド・ヴォーの決意』、『ガレット・デ・ロワの秘密』、『オッソ・イラティをめぐる不和』、『理不尽な酔っぱらい』、『ぬけがらのカスレ』、『割り切れないチョコレート』が収められています。
『ロニョン・ド・ヴォーの決意』
月に1度程度やってくる粕屋は、酷い偏食の人物。
シェフの三舟は粕屋が食べれるものだけでメニューを考案するが、粕屋は別のメイン料理を注文する。
『ガレット・デ・ロワの秘密』
フランスで修業中の志村が焼いたガレット・デ・ロワの中に入れたはずのフェーブ(その日1日の王さまを決めるための人形)が消えた。
フェーブはどこへ行ったのか?
『オッソ・イラティをめぐる不和』
以前夫婦で店にやってきた脇田が、1人で店にやってきた。
妻が友人とフランスへ行ったあと、家を出てしまったという。
『理不尽な酔っぱらい』
商店街の甘味屋の店長・萩野が、高校野球部の同級生を連れてやってきた。
萩野らは後輩の飲酒によって高校3年生の夏を棒に振ったが、合宿所にアルコールなどなかったという。
『ぬけがらのカスレ』
エッセイストの寺門小雪が店にやってきて、鵞鳥のカスレを注文した。
フランスに滞在していた頃、彼氏が作ってくれたカスレが美味しくなかったとエッセイに書いているほどなのになぜ?
『割り切れないチョコレート』
ボンボン・オ・ショコラがまずいと男性客が怒りだした。どうやら、仕入れ先がチョコレートの質を下げたらしい。
のちに男性客が今注目のショコラティエだということがわかるが、彼の店のチョコレートの詰め合わせは、19個や23個といった素数の組み合わせだった。
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