一色さゆりさんの『ピカソになれない私たち』を読みました。
あらすじ
芸術大学油画科の森本ゼミに、4人の学生が配属された。
森本の指導はとにかく厳しいことで有名。
4人は自分の絵とは何かという壁にぶち当たりながら、森本の指導に食らいついていく。
感想
強烈なインパクトの導入部分。
森本の印象がここで決まってしまいます。
今なら、パワハラ、アカハラと言われそうな言動ですが、この作品が書かれたのは2020年。完全にアウトですね。
でも、怒るという行為には大きなエネルギーが必要で、ゼミ生に怒りをぶつけるという行為には、愛情も含まれているんだと思います。
それにしても、もう少し言い方、やり方がありそうなものですが…
個人的に森本よりも嫌いだったのは、助手の高橋。
自分に才能がないがために、ゼミ生に嫌がらせをしているようにしか見られませんでした。
そのあたりの真偽は、最後に出てくるのですが…
芸大出身の一色さゆりさんらしく、芸大を中から見た興味深い作品。
学生の苦悩だとか、将来の分岐点だとかが、生々しく書かれているように感じました。
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