小路幸也さんの『国道食堂 1st season』を読みました。
あらすじ
小田原市から甲府市へ抜ける裏ルート・国道517号線上にある〈国道食堂〉。
どの料理もうまいが、この食堂の名物は、なんといっても店の真ん中に鎮座するプロレスのリング。
週末の夜には、そこでプロレスや音楽ライブなどが催されている。
この地域に転属された配置薬のルート営業マンである二方将一は、さっそく〈国道食堂〉の常連になる。
感想
元プロレスラーの本橋十一が店長を務める〈国道食堂〉。
ここでは、日々常連客を中心とした物語が紡ぎ出されています。
特に、親をなくしたエピソードが多かったのが印象的。
親と食事というものが、密接に繋がっているというイメージがあるのかな?
この作品のメインは、高校時代に演劇部に所属していた二方将一の一人芝居の上演。
高校3年間付き合っていた彼女がいたのですが、彼女が東大へ進学した一方で、二方は父親を亡くしたために就職。
彼女とはそれきりになっていたのですが、思いを断ち切れていない様子。
それは、演劇に関しても同じで、今回リングの上で一人芝居を演じようと思ったのかな?と。
物語の中に出てくる言葉。
――偶然ってのは、あれなんだよな。生きている中でものすごい数のものがあるのさ。何にも気づかない偶然っていうのもあるし、気づいてもどうでもいい偶然もある。その人の身の回りで起こる出来事なんてのはほとんどが偶然の積み重ねだ。
その中で、そいつの人生を決めるような偶然ってのも、確かにある。それに気づいて生かせるかどうかもそいつ次第なんだけどな。――
小路幸也さんらしい、それでいて良い言葉だなって思いました。
かみ合った歯車が1つ違っただけで、自分の人生は大きく違っていたんだろうなってことがたくさんあります。いや、そんなことばかりでしょうか。
でも、過去に起きた偶然を、違う偶然に置き換えることはできないので、「今を生きろ」と言われている気がしました。
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