濱嘉之さんの『警視庁情報官 ブラックドナー』を読みました。
あらすじ
警視庁企画課情報室長の黒田純一は、恋人の草野遙香とのハワイ旅行中、体調不良とされていた極盛会組長・宝田宗則を発見する。
宝田は入国できないはずのアメリカで、肝臓の移植手術を受けていた。
帰国した黒田は、臓器密売ルートを暴くため、自らフィリピンのマニラへ飛ぶ。
さらに、部下をアメリカと中国へ向かわせ、一連の闇を白日の下にさらす。
感想
「警視庁情報官シリーズ」の第4弾です。
同じ濱嘉之さんの「警視庁公安部・青山望シリーズ」と比べて、テーマがはっきりしていて、読みやすい気がします。
「警視庁公安部・青山望シリーズ」では、あっちを追いかけていたはずなのに、いつの間にかこっちを追いかけていたり、場合によっては次回に持ち越しになったりと、ターゲットがはっきりしないような気がするのですが、その点、このシリーズは明確。
今回で言えば、「ブラックドナー」。正規ルートでやりとりされない臓器提供者ですね。
今回は、黒田危機一髪の場面も用意されていますが、加害者側の脇が甘いでしょうか。
これほど物証を残しておきながら、のうのうと過ごしているのに違和感を感じました。
当事者になってみれば、「自分だけは…」と思うものなのでしょうか。
このシリーズ第1作で、濱嘉之さんのデビュー作でもある『警視庁情報官 シークレット・オフィサー』では、犯人逮捕の場面の盛り上がりが欠けていましたが、4作目のこの作品では、そのあたりの見せ方もかなり上手くなったような気がします。
緊張感もあって、面白かったです。
やっぱり、警察小説は濱嘉之さんだよなぁと、改めて実感しました。
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