濱嘉之さんの『警視庁情報官 トリックスター』を読みました。
あらすじ
第2次世界大戦終了時に、旧財閥がロスチャイルドに預けたとする約5000兆円の利息部分を日本のために使用したいと企業に持ちかける詐欺が発生。
また、人工衛星を制作する会社では、株式に疎い社長を騙して、未公開株を利用した詐欺事件が発生する。
さらに、警視庁情報室長の黒田純一は、世界平和教と日本研鑽教会が手を組み、警視庁本部を襲撃するとの情報を得る。
感想
「警視庁情報官シリーズ」の3作目です。
タイトルにある「トリックスター」とは、「詐欺師」や「ペテン師」を指す言葉なんだとか。
序盤こそ、詐欺事件の様子が詳細に書かれていますが、中盤以降は世界平和教と日本研鑽教会の話。
この大きく分けて2つの話がどう繋がるのかなぁ?と思いながら読んでいました。
最後に繋がりはするのですが、リアルであるが故に、素人には少しわかりにくいかなぁという思いも…
他の作品を読んでいても思うのですが、このあたりが濱嘉之さんの作品の弱点でしょうか。
作品の中で、宇宙産業で寡占状態にある企業名を「松芝電機」と、架空の名前にしているのですが、その通称が「MELCO」とされているのを見て、思わず吹き出しそうになりました。
MELCOは、Mitsubishi ELectric COmpanyの略。
社内外で広く使われている通称なので、いいのかなぁって。
まぁ、平気で実在の団体名などを使用される作家さんなので、問題ないのでしょう。
あと、黒田が女性と携帯電話の赤外線通信を利用して連絡先の交換をするときに、「2人の携帯がまるでキスをするように接し合った」という表現をされていて、いいなぁって。
濱嘉之さんは、勝手に堅い人ってイメージを持っているのですが、時折見せるこういった表現にやられてしまいます。
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