濱嘉之さんの『警視庁公安部・青山望 濁流資金』を読みました。
あらすじ
仮想通貨取引所〈京都ゴックス〉の社長が、朝家を出たところで銃殺された。
同じ頃、〈京都ゴックス〉の創業者の親戚筋が社長を務める〈帝国ゴックス〉から、不正アクセスによって250億円相当の仮想通貨が失われてしまう。
さらに、著名人が立て続けに急性心不全で死亡する、連続不審死事件が発生する。
警視庁公安部に復帰した青山望は、部下や警察同期生らを駆使して、事件に立ち向かう。
感想
「警視庁公安部・青山望シリーズ」の5作目です。
相変わらず「リアルだなぁ」と、ため息をつきたくなるような作品。
にわか仕込みの知識なら、そろそろ飽きてくる頃だと思うのですが、やはり本物は違います。
警察組織内での異動の行われ方だとか、組織の使い分けだとか。
本当に正しいのかどうかは判断できないのですが、「そうなんだ!」と納得してしまいます。
今回扱われたのは仮想通貨。
2014年の刊行ですので、かなり早い時期から仮想通貨に目をつけていたと言えるのではないでしょうか。
濱嘉之さんが現役の時の話だけでなく、最新の話題を取り入れているところも、濱嘉之さんの魅力だと思います。
この作品では、〈京都ゴックス〉の社長殺害のために、トリックめいたものが使われています。
これまでの作品には見られないことだったので、思わず「おっ!」と声が出てしまいました。
5冊ではありますが、これまで濱嘉之さんの作品を読んできて思ったのが、政治家の逮捕シーンが多い。
きっと、濱嘉之さん自身が、現役の時にもっとメスを入れたかったところなんだろうなぁと、邪推してしまいます。
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