伊坂幸太郎さんの『マリアビートル』を読みました。
あらすじ
東京駅を発車した東北新幹線〈はやて〉。
その中には、誘拐された組織の大物・峰岸の息子を救出し、連れ帰る途中の〈蜜柑〉と〈檸檬〉が乗車していた。
さらに、その2人が持ち帰るトランクに入った身代金を狙う〈天道虫〉が…
一方、6歳の息子をデパートの屋上から突き落とした中学生・王子に復讐を果たすため、木村が乗車するが、王子に返り討ちにされてしまう。
感想
『グラスホッパー』に続く「殺し屋シリーズ」の第2弾です。
序盤は、「うーん、ちょっと退屈?」と思ったのですが、終盤に向けて各登場人物が複雑に絡み合い、思いがけない展開があり、一気に引き込まれてしまいました。
ハリウッド映画であれば、「新幹線の中で起きるノンストップアクション!!」とでも、派手な見出しがつくところでしょうが、新幹線の中という状況は、どちらかというと疾走感よりも、一種のクローズド・サークルとして使われているように感じました。
『グラスホッパー』同様、主要登場人物の目線で交互に語られていく形がとられているのですが、読者は何が起きているかを1番把握できる立場にいるため、登場人物1人1人よりもスリルを感じられないところが欠点なのかなぁと思いました。
また、新幹線の中という閉ざされた空間の中で物騒な話しをしているのですが、周りに聞こえたり、感づかれたりしないものなのでしょうか?
いくらガラガラだったとしても、少し疑問を感じてしまいました。
多少気になるところはありましたが、終盤にかけての息をのむ展開は見事。
一読の価値ありだと思います。
また、『グラスホッパー』との共通点がほとんどないため、この作品から読んでも問題ないようになっています。
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