赤川次郎さんの『めざめ』を読みました。
あらすじ
柳原美沙の両親、啓介と美知代は、11歳の時に啓介の弟・隆士に惨殺された。
同じ日、近所の交差点では中学2年生の佐伯修がトラックにはねられた。
修は搬送先の病院で死亡が確認されたが、その1時間後に息を吹き返した。
しかし、修の身体に宿った魂は、柳原美知代のものだった。
感想
大学生になった修は、愛娘の美沙を捜し当てるが、引き取られた家族は夜逃げし、美紗は施設に預けられていた。
事故で死んだはずの男の子の身体に、死にきれなかった母親の魂が宿る。
いかにも赤川次郎さんらしい作品になっています。
同様の作品に、東野圭吾さんの『秘密』などがありますが、作者の個性が表れていると感じました。
新潮文庫への書き下ろしということで、『ふたり』を意識されたのかも知れません。
はじめは、いかにも赤川次郎さんって感じの作品だなぁと思いながら読んでいたのですが、気がつくと途中から物語の世界に引き込まれてしまい、一気に読み終えてしまいました。
ちょっと残念だったのは、フィナーレの1つ手前の展開。
2時間ドラマであれば、こんな感じかなと思うのでしょうが、この作品の中では浮いて見えるほど、ちょっと安っぽく感じられました。
半分を過ぎたあたりから、最後をどう纏めるのかなという思いが頭の片隅にあったのですが、なかなか上手い纏め方に感じられました。
道子の気持ち、美沙の気持ちが交わった瞬間、夢が覚めるように消え去っていく、とても美しい終わり方でした。
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